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2021.09.06

ライブ配信&バーチャル展示でWRS開催/経済産業省 大星光弘ロボット政策室長

昨年から延期されていた「ワールドロボットサミット(WRS)2020」がいよいよ開催される。9月には愛知大会、10月には福島大会が開かれる。新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、9月9日~12日開催の「WRS2020愛知大会」は競技会をライブ配信、展示会を仮想空間上でのバーチャル展として実施する。今年7月に就任した経済産業省の大星光弘ロボット政策室長に話を聞いた。

9月に愛知、10月に福島で

昨年から延期されてきたWRSがいよいよ開催

――WRSが9月から開催されます。
 昨年から延期が続いていたWRSがいよいよ開催となります。WRSは9月の愛知大会と10月の福島大会で構成され、それぞれ競技会と展示会を開きます。愛知大会はコロナの感染状況を踏まえて無観客での開催としました。このため、競技会は関係者のみで開催してライブ配信、展示会はバーチャル展となります。

「サービス」部門の小売店舗での陳列・廃棄作業を模した競技

――まずは競技会について教えてください。
 WRS2020の競技会は、「ものづくり」「サービス」「インフラ・災害対応」「ジュニア」の4カテゴリーで開催され、「インフラ・災害対応」は福島大会、それ以外は愛知大会で実施されます。愛知大会では海外17チーム、国内28チームの合計45チームが参加します(遠隔参加含む)。海外チームは事前準備のため少し前に来日し、入国者に求められる14日間待機も既に終わっています。「ものづくり」部門は工業製品の組み立てを想定したもので、事前に発表されている製品を組み立てるだけでなく、組み立て対象が直前に発表される「サプライズ製品」の組み立てもあります。生配信するだけでなく、動画として後日でも見られるようにする予定です。

自分の分身が仮想空間内を歩き回る

――バーチャル展はどのようなものですか?
 仮想空間の中を、自分の分身である「アバター」が歩き回る方式です。公式サイト内の「WRS VIRTUAL(WRSバーチャル)」に入ると仮想空間内に、競技会の会場や、ウェブセミナーなどを開くイベントステージがあり、その中に展示会「WRE(ワールドロボットエキスポ)ワールド」の会場もあります。会場内を歩き回って、自由に各社の展示物を見て回れます。こうした形式のバーチャル展は、他にないと思います。リアル開催が難しくなって急きょ作ったものではなく、早い段階からハイブリッド開催を見込み、作り込んだものです。33社・団体が出展し、最先端の技術を披露します。WREワールドは今月2日から公開を開始しています。10月には福島大会もありますから、WRSバーチャルのコンテンツはしばらくは公開し続ける予定です。

来月は「福島ロボットテストフィールド」で

「インフラ・災害対応」部門の、設備の点検やバルブ調整などをイメージした競技

――WRS福島大会はどうなりますか?
 10月8日~10日に開催予定で、今のところ、競技会も展示会もリアル開催を予定しています。会場となるのは、福島県南相馬市の復興工業団地内にある「福島ロボットテストフィールド」です。「インフラ・災害対応」部門の競技会に加え、福島県主催による展示会も予定しており、インフラ・災害系のロボットやロボットテストフィールドに入居している企業を含めた出展を想定しています。私はロボット政策室長になる前は福島に住んで復興庁福島復興局の参事官をしていたので、福島を応援しています。福島大会でも、さまざまな先端ロボット技術が披露される予定です。

「多くの人にWRSを見て欲しい」と話す大星光弘室長

――最近のロボットを取り巻く環境は?
 従来からの人手不足に加え、コロナ禍で非接触や人の密集を防ぐ意味でも、ロボットに関する関心が高まっています。工場で稼動するだけでなく、PCR検査をするロボットシステムなど、ロボットが活躍する分野も広がっています。経済産業省では、さまざまな研究機関や企業と連携して、昨年8月にはロボットメーカーなどが基礎技術を共同研究する技術研究組合「産業用ロボット次世代基礎技術研究機構(略称ROBOCIP=ロボシップ)」を立ち上げました。また、さまざまなロボットが稼働しやすい「ロボットフレンドリーな環境」をユーザー産業とともに構築するための取り組みなども推進しています。こうした取り組みに加えて、ロボットへの関心・期待が高まる中で、ロボットの社会実装を加速させるには「最先端の技術で何ができるのか」を、多くの人に知っていただくことが必要です。WRSはまさにそのための場ですから、ぜひとも多くの方々に見ていただければと思います。

(聞き手・構成 ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)


経済産業省 製造産業局 産業機械課 ロボット政策室長
大星光弘
(おおぼし・みつひろ)
2004年、東京大学法学部卒。04年経済産業省入省、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部参事官、中小企業庁商業課総括補佐、復興庁福島復興局参事官などを経て21年7月より現職。広島県出身、43歳。


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