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2020.02.25

イベント

物流が変わる! 注目浴びる新世代AGV【後編】

新世代の無人搬送車(AGV)が次々に登場し、物流業界を大きく変え始めている。2月12日~14日に開かれた「スマート工場 EXPO」などの展示会にも多くのAGVが出展され、来場者の注目を集めた。前編では周辺環境を認識して自律的に走行できる「SLAM(スラム)方式」のAGVを紹介したが、その他の方式を採用したAGVや、応用製品・関連機器なども展示された。

スラム以外の方式も

斜面も登れるドーグのサウザー

 2月12日~14日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた展示会「スマート工場EXPO」や「ロボデックス」には、スラム以外の誘導方式のAGVを提案する企業もあった。

 DooG(ドーグ、茨城県つくば市、大島章社長)は、自動追従式の「サウザー」を展示した。人や台車の後ろを自動で付いて回る製品だ。複数台を導入する場合、サウザーの後ろを別のサウザーに追わせることもできる。
 また、敷設した反射テープの上を走行するモードにも切り替えらえる。磁気テープと違ってテープとそれを読み取るセンサーが多少離れても問題なく、またタイヤの径も大きいため、段差や傾斜のある環境でも使いやすい。
 会場では斜面や段差に強いことをアピールするため、ブースに小さなスロープを設置。乗り越える動作を実演し、高い走破能力を訴求した。

 「スラム型AGVのような複雑な設定が不要で、専門知識がなくても容易に導入できる。現場のレイアウトが頻繁に変わる物流現場に最適な製品」と広報担当者は自信を見せる。

AGVにロボットアームを追加

三明はAGVに協働ロボットを組み合わせたシステムを開発

 物流に特化したシステムではないが、AGVの上に協働ロボットを載せた製品を展示する企業もあった。

 工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)機器商社の三明(静岡市清水区、笠井茂社長)は、日本電産シンポ(京都府長岡京市、西本達也社長)のAGV「S-CART(カート)」と安川電機製の協働ロボットを組み合わせた「AGBOT(エジボット)」を開発し、同展に合わせて販売を開始した。
 自社開発の制御ユニット「WISE(ワイズ)コントローラ」により、自律的な作業を実現する。ブースでは製品の外観検査工程前後の搬送作業を展示した。

カンタム・ウシカタが展示したアクティボ

 レーザー機器やFA機器商社のカンタム・ウシカタ(横浜市都筑区、久保至社長)は、デンマークのユニバーサルロボット製協働ロボットと、同じくデンマークのモバイル・インダストリアル・ロボットのAGV「MiR(ミア)」を組み合わせたシステム「Actibo(アクティボ)」を展示した。
 「スラム方式のAGVはさまざまな企業から販売されているが、ミアは旋回性能や連続駆動時間などの性能が高く、応用力の高い製品。ミアでなければ使えない現場もある」とMiR公認技術者・認定トレーナーでもある川口宗宏技術担当は言う。

 AGVに協働ロボットを載せたシステムは現状、工場の工程間搬送を意識した展示が多い。しかし中には、協働ロボット搭載のAGVを物流拠点でのピッキング作業向けに提案する企業もあり、さまざまな応用の可能性がある組み合わせと言えそうだ。

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