生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.03.16

イベント

製造業の川上工程でPF戦略と自動化が加速【前編】/ダッソー・システムズ(1/3)

フランスの3次元(D)CADソフトウエアメーカー、ダッソー・システムズは2月9日~12日、米国テネシー州のナッシュビルで年次イベント「3Dエクスペリエンス・ワールド2020」を開催した。ダッソーは最近、独自のクラウドベースのプラットフォーム(PF)「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」を力強く推進する。今回のイベントでは、2019年に発表した「3Dエクスペリエンス・ワークス」に関する新しい戦略を相次いで紹介し、参加者の興味を引いた。

PFでつながり生み出す

全体講演で登壇したジャン・パオロ・バッシCEO

 ダッソー・システムズはフランスに本社を置く、3DCADソフトメーカー。ロボット本体やロボットシステムの設計はもちろんのこと、その設計データを高度にシミュレーションできるソフトもそろえるため、近年はロボット分野にも力を入れる。
 グループ傘下に12のブランドを持ち、今回のイベントはミッドレンジの3DCADソフト「ソリッドワークス(SW)」を開発、販売するダッソー・システムズ・ソリッドワークスが主体となって開催した。
 CADとは「コンピューター・エイデッド・デザイン」の頭文字を取った用語で、コンピューター上で設計データを作成するためのソフトを指す。

 ダッソーは、自社グループ内の多彩な製品群をクラウド上で連携させ、データや情報を関係者で共有できる独自のプラットフォーム(PF)「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」を提供する。

 イベント初日の全体講演で、ダッソー・システムズ・ソリッドワークスのジャン・パオロ・バッシ最高経営責任者(CEO)は「ただ単にモノを設計するのではなく、設計したモノとその先に広がる現実とのつながりに着目することが重要」と強調した。その“つながり”を生み出すのが、3Dエクスペリエンス・プラットフォームという。

世界中から約6000人

 ダッソー・システムズ・ソリッドワークスは毎年、米国でユーザーを対象としたイベントを開催する。これまでは「ソリッドワークス・ワールド」の名称でイベントを開催してきたが、今年から名称を「3Dエクスペリエンス・ワールド」に変更した。

 今回のイベントは、米国テネシー州のナッシュビルで2月9日~12日の4日間にわたり開催された。世界中から約6000人ものSWユーザーが集まった。日本からも約75人が参加した。会期中は全体講演やテーマ別の講演が催された他、数多くのSWユーザーの製品展示も見られた。

 イベントでは、PF戦略をさらに強化する発表が目白押しだった。最大の目玉は3DCADのSWをPF上で活用する「3Dエクスペリエンス・ワークス」戦略だ。SWが持つ従来の設計の機能だけではなく、製品情報統合管理ソフト「ENOVIA(エノビア)」や解析ソフト「SIMULIA(シムリア)」、製造工程のシミュレーションができるソフト「DELMIA(デルミア)」などの多彩な製品の機能も、PFを介して一部使えるようになるという。これにより、設計から製造までの多工程を一元化できる。

 SWにはPF上で動くクラウド版とパソコン上にインストールして使用するデスクトップ版があるが、これまで長きにわたりデスクトップ版を提供してきたため、デスクトップ版のユーザーが多い。デスクトップ版でもPFを利用する方法はあるが、利用していないユーザーも多い。PFを通して提供する機能を充実させることで、クラウド版への移行やPFの利用を促す。そのため今回のイベントでは、3Dエクスペリエンス・ワークスに関する発表が相次ぎ、SWユーザーにPFを活用することの有効性を説いた。

  • 目玉となった3Dエクスペリエンス・ワークスの概要

  • 展示会場には多くの来場者が集まった(ダッソー・システムズ提供)

TOP