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2020.02.27

イベント

どうやってロボット入れた? 導入事例セミナーに関心集まる/名古屋市

名古屋市は2月10日、同市昭和区の名古屋工業大学で「ロボット・IoT・サイバーセキュリティ導入事例セミナー」を開催した。同大学が運営する「ロボット・IoT・サイバーセキュリティ専門人材育成講座」を受講した企業の担当者が講師を務め、自社のロボット導入事例やモノのインターネット(IoT)システムの導入事例を報告し、参加者の関心を集めた。

ロボット、IoT、サイバーセキュリティーの導入を支援

開会のあいさつをする名古屋市市民経済局の秋田重人参事

 名古屋市は2017年度から名古屋工業大学と連携し、企業のロボットやIoT、サイバーセキュリティーの導入支援に取り組む。
 例えば、「ロボット・IoT・サイバーセキュリティ専門人材育成講座」を半期に一度、同大学で開催する。ロボット、IoT、サイバーセキュリティーのそれぞれの領域で、高い専門性と問題解決力を兼ね備えた人材を育成するのが狙いだ。さらに、18年3月には「なごやロボット・IoTセンター」を設置した。

 2月10日には、同講座を受講した企業の成果報告を目的に「ロボット・IoT・サイバーセキュリティ導入事例セミナー」を同大学のホールで開催し、約100人が参加した。
 
 開会に先立ち、同市市民経済局の秋田重人参事が登壇。「専門人材育成講座を17年度に始め、これまでに計183人が受講した。いずれの講座も好評を博した」と力強く語った。

SIer協会の人材育成の取り組み紹介

「システム構築に携わる人を増やさなければロボットの導入が加速しない」と語るSIer協会の渡辺亙副会長

 セミナーでは、FA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)の渡辺亙副会長(バイナス社長)が「ロボティクスエンジニアの育成に向けて」と題して講演した。
 SIer協会の人材育成の取り組みとして、ロボットのシステムインテグレーション(SI)に関する資格制度「ロボットSI検定」や、入社1~2年ほどの若手社員を対象とした「ロボットシステムインテグレータ基礎講座」、高校生がロボット活用のアイデアを競い合う「ロボットアイデア甲子園」の概要などを紹介した。

 「SIer協会の会員企業に限らず、ロボットのシステム構築に携わる人々を増やさなければ、ロボットの導入は加速しない。それだと省人化は進まず、世の中は変わらない。それだけに、われわれSIer協会ではまず(ロボットシステムの構築ができる)人材の育成を強化したいと考えている」と渡辺副会長は語った。

自社の事例を報告

ロボット導入事例を報告した竹田鉄工場の竹田昌司常務統括工場長

 続いて、同講座を受講した企業の担当者がロボット、IoT、サイバーセキュリティーの3分野で、自社の導入事例をそれぞれ報告した。

 ロボットでは、各種産業機械向けの金属部品の加工を手掛ける竹田鉄工場(愛知県春日井市、竹田知弘社長)の竹田昌司常務統括工場長が登壇。NC旋盤(円筒形状の金属材料を加工する工作機械)にロボットを組み合わせた自動化システムを導入した事例を紹介した。
 同社の自動化システムでは、工作機械への金属材料の脱着をロボットが担う。2次元カメラも導入し、箱の中にランダムに置かれた加工前の金属材料をロボットが認識してピッキングするのが特徴だ。

 竹田常務は、カメラの認識精度を高めるために窓をなくして太陽光を遮るようにしたことなど、自動化システムの構築時に取り入れた工夫を詳しく解説し、参加者の関心を集めた。

 この他、IoTでは大手自動車部品メーカーの愛三工業グローバル生産管理部の笠井裕貴氏、サイバーセキュリティーでは工業炉の専門メーカーの中日本炉工業(愛知県あま市、後藤峰男社長)総務部の永井佑典氏が、それぞれ自社事例を発表した。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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