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2019.01.23

連載

[SIerを訪ねてvol.4]地元企業のロボット普及の起点に【前編】/HCI

今回紹介するHCI(大阪府泉大津市、奥山剛旭社長)は、柔軟物のハンドリングを得意とし、画像認識などの人工知能(AI)を自社開発できるのが特徴のロボットシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)だ。同社はもともとケーブルやワイヤの製造装置を開発、製造するメーカーで、培った技術を生かしてSIer事業を展開する。泉大津市を含む南大阪地域では製造業の中小企業の後継者不足が問題になっており、解決策としてロボット導入を提案する。

SIerとして2つの大きな特徴

 HCIはロボットSIerとして2つの大きな特徴を持っている。一つは、柔軟物のハンドリングを得意とすること。もう一つは、機械学習や画像認識などAIの自社開発ができることだ。

 柔軟物のハンドリングはロボットメーカーやSIerの間でも、特に技術開発に力が注がれている分野。同社はもともとケーブルやワイヤの製造装置メーカーで、その開発や製造の過程で柔軟物を取り扱う技術を培ってきた。その中には、特許を取得した技術もある。

 また、システムインテグレーションの中でAIが必要な場合、構築は専門の企業に任せるのが一般的だが、同社は自社でこなす。「中小規模のSIerでAIを自社開発するところは少ない」と奥山社長は自信を見せる。

優秀な人材を育てたい

柔軟物のハンドリング技術を解説する開発スタッフ

 同社のSIer事業を担うのは、開発部門である機械グループ、電気グループ、SEグループの3つ。合計14人が所属する。
 それぞれ機械設計、電気設計、AIやシステム設計をするが、ロボットのプログラミングは全グループができる上、「機械と電気」や「電気とSE」のように複数のグループの仕事をこなす技能を持つスタッフが多い。「一応グループ分けはしているが、皆汎用性が高く優秀。勉強しなければいけないことは多いが、よく頑張ってくれている」と奥山社長。

 SIerとしての戦力をより充実させるには、さらなる人材確保が必要だ。ダイバーシティー(多様性)確保の取り組みを推進し、すでにベトナム人4人が在籍。さらにブータン人1人、ミャンマー人2人の採用も決まっている。
 同社が主催する泉大津AI研究会には、企業に在籍するエンジニアやフリーランスのエンジニア、大学生などが参加する。「地元だけでなく、兵庫県や滋賀県から参加してくれる人もいる。縁があれば、彼らとの協業も考えたい」と奥山社長は話す。

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