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2022.11.04

連載

[進化する物流vol.10]中国のグローバルAGFメーカーが日本に攻勢、ショールームも設立/VisionNav Robotics

累計出荷台数は1500台超

鉄製パレットの段積み・段ばらしもできる(写真は「国際物流総合展2022」)

 同社のAGFは自動倉庫への入出庫やトラックへの積み込み・積み下ろし、製造現場でよく見られる鉄製パレットの段積み・段ばらしなど、さまざまなシーンで使用される。「センシング、ナビゲーション、制御の3つのコア技術があるからこそ、鉄製パレットの段積み・段ばらしなどの難しい作業の自動化も競合他社に先駆けて実現できた」とKikiゼネラルマネージャーは胸を張る。
 食品業界や自動車業界、物流業界などを中心に納入台数は右肩上がりで増え、今年3月には累計出荷台数が1500台を超えた。
 
 また、現場適用性の高いAGFを中核に、周辺機器も含めたトータルソリューションを顧客のニーズに合わせて提案できるのも強みだ。
 石毛パートナーセールスマネージャーは「AGFメーカーはまだまだ少なく、ユーザー側もどの様にAGFを活用すればいいか悩んでいる部分がある。『導入したけど結局運用できなかった』という事態を防ぐためにも、わが社では事前にしっかりとヒアリング、現地調査をしながら、“使えるソリューション”を提案する」と説明する。時には、5年~10年以上にわたって段階的にAGFや自動けん引車を導入して自動化トータルソリューションを進める長期的な提案もするという。

日本が開拓できれば他の市場も

ビジョンナビロボティクスジャパンの石毛将太パートナーセールスマネージャー(提供)

 今年4月には日本法人を立ち上げ、現在はKikiゼネラルマネージャーや石毛パートナーセールスマネージャーを含む9人の体制で日本市場に攻勢をかける。
 「日本ではフォークリフトの運転手の人手不足が深刻で、自動化のニーズが非常に大きい。品質やサービスの要求水準も高いため、会社としては『日本市場が開拓できれば他の市場でも十分通用する』と考え、日本市場の攻略に注力している」とKikiゼネラルマネージャーは語る。

 日本法人の目下の課題は知名度の向上。今年9月に東京都内で開催された「国際物流総合展2022」などの各種展示会に積極的に出展し、社名とAGFの両方を日本の顧客にPRする。「中国のメーカーと聞くと、『低価格』という認識を持たれがちだ。これに対しわが社は、もちろん価格優位性も追求するが、やはり品質で競合他社との差別化を図りたい。国際物流総合展2022では、こうした姿勢もアピールした」と石毛パートナーセールスマネージャーは強調する。

RTJ2022には岡谷鋼機のブースでAGFをアピール

 より多くの顧客と接点を持つため、「パートナー」と呼ぶ代理店の拡充にも力を注ぐ。
 現在は得意な業種や地域が異なる複数のパートナーと共に日本市場の開拓に取り組み、今年6月に愛知県で開かれた「ロボットテクノロジージャパン(RTJ)2022」ではパートナーの岡谷鋼機のブースでAGFのデモを披露した。

 また、今年秋には東京都江東区にショールームを開設し、営業活動の主力拠点として活用していく。約260㎡のフロアに、さまざまなモデルのAGFを常設展示するという。今後はショールームや展示会などを生かしてPR活動を加速させ、認知度の向上につなげたい考えだ。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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