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2025.06.20
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[連載コラム:いまさら聞けないキーワード]vol.14 ハプティクス

最近よく聞く言葉だけど、「それどんな意味?」と聞かれたら自信を持っては答えにくい――。そんな言葉はありませんか? 連載コラム「いまさら聞けないキーワード」では、そんなロボット業界のキーワード・新ワードを紹介します。今回は、より広い領域でロボットが人の代わりを担うために必要なハプティクス(触覚技術)について解説します。

 産業用ロボットは柵を設けて使います。協働ロボットの多くは近くに人を検知すると動作を緩めたり止めたりします。こうした安全対策は、高速で動くロボットが人に衝突するのを防ぐためのもの。ロボットハンドに柔軟な素材を使うのも、つかむ対象にダメージを与えるのを防ぐのが目的です。しかし、人の皮膚のような触覚があれば、適切な力加減で動作できるはずです。接触を検知し力加減をする技術をハプティクスと呼びます。

 

 ハプティクスの確立には、センシングした情報を高速で解析し、ほぼリアルタイムで伝送し、機械で再現する技術が求められます。現在は確立の途上ですが、テレビゲーム内で衝撃がかかった時にコントローラーが振動する機能や、スマートフォンの画面をタッチする力加減で反応が変わる機能など、部分的に実装されているケースがあります。

ハプティクスが組み込まれた遠隔操作ロボットが開発された

 ロボット業界でも徐々に活用され始めており、遠隔操作ロボットでは、現場のロボットに加わる力を手元のロボットにフィードバックすることで繊細な操作を実現します。

 また、食品や袋のように軟らかいものをつかむ時、つかむ対象から返ってくる感触に基づいてハンドのつかむ力を制御することで、従来人にしかできなかった繊細な作業をロボットに代替することも可能になります。

 

 人手不足がますます深刻化していますが、ロボットが人の感覚機能を備えるようになれば、ロボットができる作業の範囲は格段に広がります。今後、ハプティクスの確立に向けて研究開発の加速が期待されます。

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