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2026.03.06
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[注目製品PickUp! vol.93]水洗いできるAGVを、食品工場の生産ラインに/ミラボット

ミラボット(東京都港区、中山謙一郎社長)は、防水・防じん性能に優れる無人搬送車(AGV)「CarriRo(キャリロ)WP」を開発した。食品工場は人手不足や衛生管理などの観点から自動化が徐々に進んでいるが、生産ラインのあるエリアで搬送ロボットを運用するには高い耐環境性が必要になる。同社は水をかけて洗えるほど防水性に優れるキャリロWPを通じ、食品工場の自動化を支援する。

水野敦志:ロボットダイジェスト編集部)

IP65相当の耐環境性

 搬送の自動化にはAGVや自律走行型搬送ロボット(AMR)が有効だが、通常の搬送ロボットは水のかかるような環境では使えず、食品工場などで導入するのが難しい。

 そうした悩みを解消すべく、ミラボットは防水仕様のAGV「キャリロWP」を開発した。防水・防じん保護(IP)等級の「IP65」に相当しており、水や粉じんが飛散する現場でも使えるだけでなく、機体に水をかけて洗えるほど耐環境性に優れる。
 大下剛取締役は「蒸気を利用する食品機械は多く、液体が機械の周囲に飛散する現場もある。そうした環境でもキャリロWPは問題なく稼働できる」と語る。

開発中のCarriRo WPの外観デザイン(提供)

 外装はステンレス製でさびの心配がなく、内部には完全防水のボックスがあり、そこにバッテリーや制御装置などを収める。機体サイズは幅585mm、奥行き780mm、高さ600mm。
 物を搬送する際は、本体の上部に載せるか台車などに載せてけん引するかを選べ、本体に載せる場合は50kgまで、けん引する場合は600kgまで運べる。

 走行方式は同社のAGV「キャリロシリーズ」と同様に、床面に設置したランドマーク(認識用マーク)を認識して稼働する。「本体底面のカメラでランドマークを認識するが、ランドマークが水にぬれても問題なく識別できるようキャリロWPでは改良を加えた」と、ロボティクスイノベーション部ロボット開発課の堀越浩司課長は説明する。
 単に機体の防水性が高いだけでなく、認識機能など実際の運用環境を細かく想定した性能が盛り込まれている。

ルート分岐で搬送先を切り替え

床面のランドマークを認識して稼働する

 走行に使うランドマークは幅1m、奥行き10cmの帯状となっている。最大10m間隔で設置できるため、走行ルート分の長さが必要な磁気テープなどと比べ、設置作業の手間が少ない。
 ランドマークは2種類あり、表面にロボットの進行方向を示す矢印などの記号が印字してあるタイプを「固定ランドマーク」と呼ぶ。その記号と対応する動作指示が設定してあり、キャリロWPが読み取ったランドマークに応じて進路の変更や加減速、停止などを実行する。

 もう一方の「可変ランドマーク」には、個々に「A」、「B」などアルファベットが印字してある。固定タイプと異なり、ユーザーが動作指示の内容を複数設定でき、ロボットの動作中に切り替えられる。例えばある可変ランドマークに、直進とカーブの動作指示を設定すると、1つのランドマークで走行ルートの分岐点を作れる。
 「動作内容は事前に複数設定し、タブレット端末を使って適宜切り替える。搬送物によって搬送先を変えるなど、柔軟な運用を実現できるのが強み」と大下取締役は話す。

人に追従して動く「カルガモモード」なら初めてでも簡単に運用できる

 またキャリロWPはオプションで、レーザーを照射し周囲の環境と自己位置を認識するSLAM(スラム)方式も搭載できる。環境によっては床面がぬれていてランドマークを設置できない場所もあり、その周辺ではスラム式で、それ以外の場所ではランドマークを認識するハイブリッドな走行を提案する。
 他にはタブレットでラジコンのように動かす「ドライブモード」が標準搭載してあり、前方の作業者や台車などに追従して動く「カルガモモード」がオプションで追加できる。

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