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2023.06.07

活用事例

[特集 工場物流を刷新せよ!vol.5]物流革新で生産性15%増、効率以外の利点も/オカムラ・ファナックパートロニクス

ファナックパートロニクス(長野県茅野市、澤田毅社長)は、工場内物流の見直しで生産性向上を果たした。同社はファナックの製造子会社で、主に電子機器を手掛ける。近年は生産量が増え続ける一方、生産ラインの工夫による生産性向上には限界があった。そこで、工場内物流を見直した。生産前の部品や仕掛品の保管とピッキングにノルウェーに本社を置くオートストアのロボット自動倉庫「AutoStore(オートストア)」を活用する。国内代理店のオカムラと共に工夫を重ね、生産性向上以外にも多くの課題を改善できた。

生産工程の改善は限界に…

保管棚から取り出す従来の作業風景

 ファナックパートロニクスは、NC装置(工作機械用の数値制御装置)や産業用ロボットなどに使われるプリント基板ユニットやアンプ、操作盤などの電装品を手掛ける。

 同社では、生産品目ごとに4つの工場棟を設けている。作業者の手作業と産業用ロボットを組み合わせて生産ラインを構築する。
 従来は生産品目の特性に合わせて、各工場棟の生産技術者や作業者が生産ライン上の工夫や改善などをして、生産性向上を図ってきた。
 近年はファナックのNC装置や産業用ロボットなどの需要拡大に合わせて、ファナックパートロニクスも生産量が増えていた。生産工程の工夫による生産性向上には、限界があった。そこで、工場内物流を見直した。

 導入を推進した同社工務課の森元通晴課長は「電子機器を組み合わせた電装ユニットを計画通りに生産するには、調達部品を効率よく保管し、管理状況を把握する必要がある。この工程に着目して、工場内物流を抜本的に見直した。工場4棟分の物流を担う建屋を新設し、鍵を握る設備としてオートストアを導入した」と狙いを明かす。

オートストアの魅力

グリッド上を走行するオートストアのロボット

 従来は、各工場棟内に部品の保管棚があった。協力企業などから届いた調達部品を棚に収めて保管する。
 生産開始時に作業者がリストを基にカートを使い、保管棚を回って部品を集めていた。実測すると、その作業の約半分が歩行だったという。
 そこで注目したのが、オートストアだった。

 オートストアは専用コンテナ「ビン」を積み重ねて高密度に収納した格子状の「グリッド」と、コンテナを運ぶ箱型ロボットを組み合わせた自動倉庫。入出庫作業用の「ポート」から目的の荷物情報を入力すると、グリッドの上を自走式の箱型ロボットが走り回り、指定された荷物の入ったコンテナをつり上げる。そして、ポートまで運び、作業者がコンテナから荷物を出し入れできる。
 歩き回らずに定点で入出庫作業ができる点と、空間あたりの保管効率の高さが最大の魅力だ。

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