物流向け自動化提案がさらに加速【その3】/国際物流総合展2025 INNOVATION EXPO
物流関連の専門展「国際物流総合展2025第4回INNOVATION EXPO(イノベーションエキスポ)」が9月8日~10日に都内で開かれた。物流に関する幅広いソリューションが披露される展示会で、倉庫作業を自動化できるマテリアルハンドリング(マテハン)機器も多く展示された。「その3」では産業用ロボット関連やソフトウエア関連の提案に焦点を当てる。
デバンニングとパレタイズを組み合わせ提案
「その1」では自動倉庫、「その2」では自動フォークリフトなどを紹介してきたが、会場には産業用ロボットを使った自動化提案もあった。
中国に本社を置くロボットシステムのメーカーの日本法人XYZ Robotics(XYZロボティクス、東京都千代田区、蘇詠善社長)は、コンテナに荷物を積み降ろすバンニング/デバンニングロボット「RockyOne(ロッキーワン)」と、パレット(荷役台)に箱を積み降ろすパレタイズ/デパレタイズロボット「RockyLight(ロッキーライト)」を伸縮式コンベヤーでつなぎ、コンテナから荷物を降ろしてそれをパレット上に積み付ける一連の作業を自動化した。
「アーム先端の真空グリッパーは複数の箱をまとめて吸着できるが、吸着パッドの開閉を個別に制御しているため臨機応変に1箱だけ扱うこともできる。展示会ならそういった細かい部分まで説明でき、他社との違いを分かってもらえる」と同社のマーケティング担当者は言う。
変種変量に適したマルチ吸着ハンド
ロボットハンドを展示する企業もあり、 THKは9月10日に受注を開始した新製品のロボットハンド「次世代マルチ吸着ハンド TNH08-V09」を展示した。
ハンド本体には9本の中空シャフトがあり、それらが把持対象物(ワーク)の形状に倣って吸着する。シャフトの固定には独自の機構を使い、可搬質量は7kgまで担保する。主に自動車部品の搬送向けに開発した。バンパーやランプなど曲線の多い部品でも持ち上げられる。
担当者は「自動車業界では1本の生産ラインで複数車種を生産する『変種変量生産』の傾向が強まる。そんな生産ラインでも、この製品であればロボットハンドを取り替えることなく作業を続けられる」とアピールする。
ソフトでサプライチェーン最適化
ソフトやデータ連携基盤による効率化提案もあり、パナソニックコネクト(東京都中央区、樋口泰行社長)は、製造業向けに物流ソリューションを複数提案した。
倉庫業務の実行管理システム「ZetesMedea(ゼテスメディア)」など個別業務向けのアプリケーションソフトを組み合わせて使い、データは子会社の米国Blue Yonder(ブルーヨンダー)が提供するサプライチェーンの連携基盤「ブルーヨンダーネットワーク」に集約する。これに連携する機器として、カメラを使った検品システムや各種搬送ロボットなども提案する。
現場ソリューションカンパニー現場サプライチェーン本部SCM事業センターの計盛大シニアマネージャープロダクトオーナーは「物流工程だけで考えても、サプライチェーン全体の最適化はできない。メーカーがどのタイミングで商品を作り、店舗ではどのタイミングで在庫がなくなるのかが分かると、いつ倉庫から出荷するのかが予測でき、最適化できる。わが社の連携基盤やシステムを使い、企業間の壁を越えてそれらのデータが蓄積されていけば、人工知能(AI)などを使った需給予測の精度も上げられる」と利点を話す。
――終わり
(ロボットダイジェスト編集部 曽根勇也、西塚将喜)