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2021.10.18

イベント

ベンチャーの最新搬送ロボに脚光/国際物流総合展

10月13日~15日の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイト青海展示棟で物流関連の専門展「国際物流総合展 第2回INNOVATION EXPO(イノベーションエキスポ)」が開かれた。会場内にはロボット・自動化関連の製品が多数展示され、特にベンチャー企業の無人搬送車(AGV)や自律移動型搬送ロボット(AMR)が大きな注目を集めた。

多くのメーカーがAGV、AMRを展示

 国際物流総合展イノベーションエキスポは、物流関連の製品やサービスが一堂に展示される総合展だ。出展分野は物流サービスや、物流向けソフトウエアなど多岐にわたるが、今回展で目立ったのがAGVやAMRといったロボット・自動化機器の展示だ。特に、ベンチャー企業による展示や、大手企業でもベンチャー企業とコラボレーションした展示が話題を呼んだ。

 2015年創業の(福岡市中央区、後藤元晴社長)は、PTC(熊本県宇土市、古閑飛雄馬社長)が開発した荷積みシステム「からくりパレタイザー」や、THKが構築したロボットシステムと組みあわせ、自社のAGV・AMRを展示した。
 からくりパレタイザーと組み合わせた展示では、同パレタイザーがパレット(荷役台)上に箱を積み付け、500kg可搬の「TiTra(ティトラ)G500」が搬送し、入出庫の自動化を提案した。THKのロボットシステムと組み合わせた展示では、棚に置かれた物をTHKの万能ハンドでピッキングし、「ティトラS100」で搬送するデモンストレーションを披露した。
 「前後工程を自動化するロボットと組み合わせることで『現場での具体的な活用がイメージしやすい』と来場者の反応もよい」と東京営業所の宇田秘氏は話す。

  • 匠の搬送ロボットを「からくりパレタイザー」と組み合わせて展示

  • THKのロボットシステムと匠の搬送ロボットでピッキングを提案

海外パートナーの製品をアピール

専用棚の間を垂直にも移動できるスカイポッドロボット

 海外メーカーの製品を提案する企業も多い。
 IHI物流産業システム(東京都江東区、笠俊司社長)は、15年にフランスで創業したEXOTEC Solutions(エクソテックソリューションズ)の3次元ピッキングシステム「Skypod(スカイポッド)」を提案した。IHI物流産業システムが販売パートナーとして、今年3月から販売する製品だ。
 搬送を担う「スカイポッドロボット」は、一見すると普通のAGVのようだが、狭い専用棚の間を水平に走行するだけでなく、垂直にも移動でき、樹脂コンテナの出し入れまでできる。集荷担当者は棚まで商品を取りに行く必要はなく、ピッキングステーションで待っていればスカイポッドロボットがコンテナを運んできてくれる。スカイポッドロボットや専用棚などは柔軟に増設でき、将来の事業拡大にも対応しやすい。
 「コンベヤーや、一般的な自動倉庫のような取り出しクレーンが必要ないことが高く評価されている」と営業本部ロジスティクスソリューション営業部の堀寛生氏は言う。

右上がティーソート3D、右下のAMRがAMB-J

 物流ロボットを月額定額制で提供するプラスオートメーション(東京都港区、飯間卓社長)は、同展に合わせて中国メーカー製の物流ロボット2機種を発表した。
 一つ目が浙江立鏢機器人の仕分けシステム「t-Sort(ティーソート)3D」だ。多段式の仕分け箱ラックと、その箱に商品を投入するロボットを一体化したもので、仕分け用AGVのティーソートと組み合わせて使用する。仕分け先が多い物流現場に最適で、省スペースで大量の荷物を仕分けできる。
 もう一つが上海仙工智能科技のAMR「AMB-J」で、カゴ車やカート、パレットなどを持ち上げて搬送する。
 「多様な物流機器を連携させるための独自システム『+Hub(プラスハブ)』も今回展に合わせて発表しており、わが社にとってはエポックメイキングな展示会。来場者からの反応はとても良い」と野中大介チーフセールスコンサルタントは言う。

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