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2025.09.04
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[注目製品PickUp!vol.87]独自開発のAIで高精度な自動外観検査を実現/フツパー「メキキバイト」

フツパー(大阪市淀川区、大西洋最高経営責任者<CEO>)は人工知能(AI)を活用したソフトウエアを多く開発する。その製品群の中核を担うのが、製造業向け外観検査AI「メキキバイト」だ。画像データから不良品の特徴を抽出して学習するため、ルールを定義して不良品を判断する画像検査システムでは見落としがちだった不良品も見つけられるようになる。搬送システムに組み込んで使うことで、外観検査の無人化を実現する。

得意分野は不定形物

 外観検査は人の目視に頼るケースが依然として多い。製品に異常がないかを長時間集中して確認し続けなければならないため、作業者にとり負担の大きい作業といえる。しかし、AIで検査内容を学習させて自動化をしようにも、形状や色のわずかな差異の検知や発生頻度が高くない不良への対応が難しいとの課題があった。

 フツパーのメキキバイトはAIを使った外観検査ソフトで、検査精度の高さが大きな特徴。独自開発のアルゴリズム(データ処理手順)で、安定して高精度な外観検査ができる。

 これまでの導入実績は食品業界向けがおよそ半数を占める。食品の中でも焼き菓子向けの実績が多い。焼き菓子は表面の焼き加減で色が変わったり、形状も製品ごとにわずかな差異が生じる不定形物のため、一般的には検査の自動化が難しいとされる領域だ。

「メキキバイトは不定形物の検査で強みを発揮する」と話す大西洋CEO

 従来の画像処理装置であれば人が検査ルールを設定し、それに従って機械が良品か不良品かを判定するルールベース検査が主流とされる。ルールベース検査は不良のパターンをすべて網羅するのが現実的でなく、あらかじめ設定したルール以外の異常を検知できないのがデメリットとして挙げられる。

 メキキバイトはルールを定義して良品と不良品を判定するのでなく、画像データから不良品の特徴を抽出して学習する。そうすることでルールベース検査では網羅しきれない多種多様な不良品も検知できるようになった。「検査対象物(ワーク)の寸法や形状が明確に決まっている環境であればルールベース検査は有効だが、不定形物がメインの製造現場であればメキキバイトの方がアドバンテージが大きい」と大西CEOは力を込める。

クラウド上に保存された検査データを「フツパーインサイト」で確認できる

 メキキバイトの検査データはクラウド上に保存され、そのデータはAI開発ソフト「Hutzper Insight(フツパーインサイト)」で確認できる。「検査データの中でも良品か不良品かAIが判断に迷ったものを抽出してクラウドに保存し、現場にいなくても検査データの確認やAIの再学習ができる。この仕組みは特許を取得した。データを蓄積し活用できる点が、わが社の強み」(大西CEO)。

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