2025.11.28
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[特集2025国際ロボット展vol.9]注目の出展製品PickUp!②

2025国際ロボット展(iREX2025)のテーマは「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」。過去最多の673社・団体が出展を予定しており、ロボットの最新の製品やシステム、周辺機器が一堂に展示される。本コーナーでは見逃せない注目製品を紹介する。

荷物の積み降ろしや、ラボ作業を自動化

 京セラは「3D×AIビジョンシステムで作業現場の課題解決!」をテーマに混載のデパレタイジングシステムを展示する。物流現場や製造現場で欠かせないパレタイズ(荷積み)やデパレタイズ(荷降ろし)作業は、いわゆる3K(危険、汚い、きつい)に分類される重労働だ。慢性的な人手不足が深刻化する中、自動化でこうした人手の作業を削減することが業界共通の課題となっている。同システムは、この課題の解決に向けて開発したソリューション。標準設計のため部材の手配から導入まで短納期で対応できる他、顧客指定のロボットメーカーのロボットを使用できる。

 デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)は小型協働ロボット「コボッタ」を使い、研究所内の実験を自動化する「ラボラトリーオートメーション」のシステムを出展する。調合や定容、秤量(ひょうりょう)など、研究に欠かせない工程をパッケージ化した「標準システム」に加え、液体処理や計測、攪拌(かくはん)などのモジュールを自由に組み合わせられる「COBOTTA LAB Modules(コボッタ・ラボ・モジュールズ)」を新たにラインアップに追加した。走行軸に載ったコボッタがモジュール間を移動しながら作業する。モジュールは入れ替えや再配置が簡単なため、導入後も研究テーマの変更や進行に柔軟かつスムーズに対応できる。

京セラは混載のデパレタイジングシステムを展示する
デンソーウェーブは研究所内の実験を自動化する「ラボラトリーオートメーション」のシステムを出展する

生産変動に強い搬送設備を実現

川崎重工業は同社製AMRを使った車体の組み立てラインを目玉に据える

 川崎重工業は今回展では「Meet Your New Buddy(ミート・ユア・ニュー・バディ)」をコンセプトに、人工知能(AI)や自律移動などで進化するロボットが人の相棒になる未来を紹介する。見どころは、同社製の自律走行型搬送ロボット(AMR)を使った車体の組み立てラインだ。最大可搬質量は1tで、多彩なサイズの塗装前の車体(ホワイトボディー)を搬送できる。加えて、最大搬送速度は毎秒2mと、従来の搬送機と同等の搬送速度を誇る。固定式搬送装置は生産ラインの構築などに時間がかかり、生産変動に対して柔軟な対応が難しいが、AMRなら生産変動に強い搬送設備を実現できる。

 

ハンドチェンジャーや真空グリッパーの提案も

 コスメック(神戸市西区、木村公治社長)が出展するロボット・ハンド・チェンジャー「STR」は、既存の「SWR」が持つ位置再現精度3μmと高剛性、がたつきゼロという特徴はそのままに、エアポート数を削減したエア駆動式の製品。連結時にはばねでロックし、連結中のエア消費量をゼロにする。ツールのリリースを1ポートで可能な「M5継手配管タイプ」と、ロボット側からエア供給を必要としない「リークレスカプラタイプ」の2タイプを用意。後者はエア漏れを防ぐリークレスカプラが接続された状態でのみリリース可能なため、万が一エア供給が停止した際でもツールの落下を防止できる。

 スウェーデンに本社を置く真空機器メーカー、ピアブの日本法人ピアブ・ジャパン(東京都葛飾区、吉江和幸社長)はハンド重量が1.8kgと軽量ながら、理論つり上げ力100kgを実現する協働ロボット用のパレタイズ向け真空グリッパー「CVGCシリーズ」を披露する。20kg可搬の協働ロボットに搭載すれば、最大18 kgのワークまで搬送できる。オプションでフォームパットやサクションカップなどの多彩な吸着装置を選択できるため、形や大きさが異なる対象物(ワーク)にも柔軟に対応できる。デンマークのユニバーサルロボット(UR、日本支社=東京都港区、山根剛代表)の協働ロボットとファナックの協働ロボット「CRXシリーズ」向けにはプラグ・イン・ソフトウエアも提供する。

 

コスメックのロボット・ハンド・チェンジャー「STR」は位置再現精度3μmと高剛性、がたつきゼロを実現する
ピアブ・ジャパンは協働ロボット用のパレタイズ向け真空グリッパー「CVGCシリーズ」を披露する。

減速機などの要素部品も

 力覚センサーメーカーのワコーテック(富山県高岡市、岡田和廣社長)は力覚センサーのブランド「DynPick(ダインピック)」の新製品として高可搬ロボット用力覚センサー「WLFシリーズ」を来年2月に発売する。計測方法としてタッチパネルなどで利用される「静電容量式」を採用し、ダインピックの持つ低コストと高耐久性を踏襲する。直線3軸の定格荷重(Fx、Fy、Fz)が2000N(ニュートン)と5000Nの2種類を用意しており、いずれも各軸周りのモーメント(=回転させようとする力、Mx、My、Mz)は400Nm(ニュートンメートル)で、100㎏可搬クラスのロボットに対応可能。新構造の「検出機構部」の採用で、厚さは38.5mmに抑えた。

 減速機の大手メーカー、ハーモニック・ドライブ・システムズは波動歯車減速機「ハーモニックドライブ」の小型モデルにベアリングなどを合わせてユニット化した「CSF-mini(ミニ)シリーズ」に、「型番7」を新たなラインアップとして追加した。既存の「型番5」と「型番8」の間を補う性能と形状を持つ。また、同社が独自開発した「小型4点接触ボールベアリング」を主軸受けに採用し、外部負荷を直接支持できる。さらに、型番7のバリエーションに入力軸を持つ完結タイプのユニットを追加することで、顧客は用途に応じて適切な製品を選択できる。

ワコーテックは来年2月に高可搬ロボット用力覚センサー「WLFシリーズ」を発売する
ハーモニック・ドライブ・システムズは「CSF-miniシリーズ」に「型番7」を新たなラインアップとして追加

(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)

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