2026.05.21
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[特別企画 ロボット切削の最前線vol.4]“常識”にとらわれない/トライエンジニアリング

ロボットが加工対象物(ワーク)を切削加工する「ロボット切削加工」に今、熱い視線が注がれている。そこで、ロボットダイジェスト編集部は、ロボット切削加工システムの可能性や今後の動向を計4回にわたって取り上げる特別企画を実施する。最終回となる4回目はシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のトライエンジニアリング(名古屋市守山区、片山誠二社長)の事例を紹介する。

桑崎厚史:ロボットダイジェスト編集部)

累計50台の実績

SIerならではの発想で「ロボットマシニングシステム」の提案に取り組む(動画は昨年10月の「メカトロテックジャパン(MECT)2025」で撮影)

 SIerのトライエンジニアリングは、2014年からロボット切削加工のシステム構築に取り組む。自動車や航空機、鉄道、造船、鉄鋼などの大型ワークを対象に、独自開発の主軸モーターを備えた「ロボットマシニングシステム」を昨年末までに累計で50台納入した実績を持つ。
 岡丈晴専務は「門形マシニングセンタや5面加工機といった大型工作機械は導入コストが高価な上、加工対象の大型ワークよりもさらに広いスペースが求められる。こうした課題から大型工作機械を導入したくてもできなかったお客さまがロボットマシニングシステムを採用するケースが多い」と分析する。

 ロボットは工作機械と比較して加工精度も加工スピードも劣る。だが、工作機械にはない柔軟さやコンパクトさ、投資コストの低さなどのメリットを備えるだけに、同社のロボットマシニングシステムへの引き合いもここ数年で急増した。テスト加工の要望も多く、最近は重切削の案件も増加傾向にあるという。「ギガキャストの登場を背景に、ロボット切削加工の適用が期待できる新たな市場が生まれつつある。また、高剛性なロボットや絶対位置決め精度が高いロボットといった技術進歩も相まって、ロボット切削加工が注目を浴びている」と岡専務は述べる。

 vol.2やvol.3で取り上げた2社も含め、近年は日本でも複数の企業がロボット切削加工の分野に進出する。これに対し、同社はSIerならではの柔軟な発想で差別化を図る。高剛性なベッドや高精度なジグ(ワーク固定具)など、切削加工に求められる要素を一切取り入れず、あくまでシンプルな構成にこだわってロボットシステムを構築するという。岡専務は「SIerだからこそ工作機械メーカーの“常識”にとらわれず、お客さまが求める加工精度やコストに見合った形でロボットマシニングシステムを提案できる。こうした“非常識”な発想こそがわが社の強みになっている」と話す。

市場拡大を目指して発足

ロボット加工技術研究会の会長も務めるトライエンジニアリングの岡丈晴専務

 岡専務は、ロボットメーカーや切削工具メーカーなどと共に24年に発足した団体「ロボット加工技術研究会」の会長も務める。
 同研究会では会員各社が知見を持ち寄り、ロボット切削加工に必要な技術の底上げに努め、ロボット切削加工の市場拡大を目指す。同社を含む8社が初期メンバーに名を連ねており、会員数は今年3月1日時点で準会員も含めて13社にまで増加した。

 「ロボット切削加工は技術的に不確定な要素が多いため、ロボットや切削工具、切削条件などの検討事項がまだまだ山積している。これらを一つずつ解決できれば、市場がさらに広がるだろう」と岡専務は期待を寄せる。

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