[特別企画 ロボット切削の最前線vol.3]大型ワークを省スペースで/桜井製作所
ロボットが加工対象物(ワーク)を切削加工する「ロボット切削加工」に今、熱い視線が注がれている。そこで、ロボットダイジェスト編集部は、ロボット切削加工システムの可能性や今後の動向を計4回にわたって取り上げる特別企画を実施する。3回目は桜井製作所の事例を紹介する。
ロボット加工機をリニューアル
桜井製作所はリニューアルしたロボット加工機「SAKU(サク)270F」を大型ワーク向けに訴求する。ファナックの可搬質量270kgのロボット「R-2000iC/270F」を採用し、自社開発の切削加工用スピンドルを搭載する。
ロボットアームのストロークはX軸が1500mm、Y軸が1000mm、Z軸が500mmで、スピンドルの回転数は毎分最高1万5000回転だ。切削工具を12本格納できるツールマガジンを備え、穴開け加工やフライス加工などのさまざまな加工に対応する。
ターゲットには電気自動車(EV)や航空関連の大型ワークを据える。従来、大型ワークの加工に使われてきた門形マシニングセンタや5面加工機といった大型工作機械と比べ、設置スペースや設備投資にかかる費用を大幅に低減できる。
工機部の森島広文部長は「SAKU270Fは精密級の工作機械と差別化しながら使用するべきで、ロボットを使う限り一級の位置決め精度や加工精度を追求できるものではない」と説明する。
SAKU270Fはファナックのロボット制御装置を搭載し、CAM(コンピューター支援製造)システムで切削加工用プログラムを作成する。それをロボット用プログラムに変換し、ロボットの動作を検証する。ロボット動作にスピンドルの回転指令を加え、切削加工を実行する。
専用機メーカーの強み生かす
桜井製作所は自動車業界向けの専用機メーカーと部品加工メーカーの顔を併せ持つ。約4年前、大型ワークの加工ニーズの高まりを受けてロボット加工機の初代モデルを開発した。
森島部長は「専用機設計や部品加工で培ったノウハウを基に、テーブルやジグ(ワーク固定具)などの周辺設備を要望に合わせて設計、提案できるのが強み。自動化ラインを手掛けてきた経験から、ロボットの操作やセットアップにもたけている」と力を込める。
従来機の改良を経て、2024年11月にファナックのロボットを組み込んだSAKU270Fをリリースした。従来機では海外メーカーのロボットを使っていたが、森島部長は「国内メーカーであるファナックとは連携が取りやすく、お互いの技術を持ち寄りながら共同でシステムを開発した」と振り返る。
製品PRの場は主に展示会だ。もともとSAKU270Fの加工対象はアルミ合金を想定していたが、展示会への出展を通じて樹脂や鋳鉄の加工でも引き合いが来ているという。
桜井製作所では今年度中に初号機の納品を目指す。森島部長は「昨今、航空関連の顧客からのロボット切削加工への関心が高まっている。今後も航空関連の部品加工ニーズが拡大すれば、ロボット加工機の需要も一層高まるのでは」と期待する。

