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2023.01.20

連載

[SIerを訪ねてvol.30]地元企業の自動化の「最後の砦」/アラインテック

全国各地のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)を紹介する本連載。今回登場するのは、山口県岩国市に本社を構え、県内では自動化の最後の砦として幅広い自動化ニーズに応えるアラインテック(上田文雄社長)だ。「自動化に行き詰まった時に相談いただくので、難しい案件が多い」と上田社長。そうした課題をこなすことが実績につながり、ロボットメーカーからもユーザーからも頼られるように。これからもSIerとして一品一葉のシステム開発をしながら、今後はノウハウを昇華したパッケージ製品の開発や販売にも力を入れる。

ロボは自動化の手段の一つ

 いい景色でしょう。天気が良ければ四国まで見えるんですよ――。アラインテック(山口県岩国市)の本社事務棟2階の応接室で、上田文雄社長は話す。本社があるのは瀬戸内海に面した見晴らしのいい工業団地で、錦帯橋で有名な岩国市の中心部からは車で約30分。研究開発拠点を兼ねる本社工場の他に、山口県光市と岐阜県垂井町にも製造拠点がある。

海沿いの工業団地にある本社。見開けた写真右奥に瀬戸内海が広がる

 山口県内では自動車産業をはじめ化学や鉄鋼などの産業が盛んだが、いずれの産業でも自動化や省人化のニーズが高まっている。「ロボットは、数ある自動化の手段の一つ。顧客から寄せられる課題に応じて自動化の方向性を検討する」と上田社長。

幅広い対応力に強み

工場では複数のロボットシステムの製作が同時進行する

 扱う製品は、1mを超える金属部品から、電子部品、液体、粉体など幅広い。ロボットや自動化機器を用いてそれらのハンドリングなどの処理を実現することで、「さまざまな大きさや重さ、硬さのものを取り扱うノウハウを蓄積できた」と胸を張る。重さで言えば1g以下から1tを超える製品を扱う技術力を持ち、県内では大手企業から中小企業に至るまで、自動化に困った時の最後の砦として頼られる。また、国内各地の展示会に出展しているため、中部や関東からの引き合いも多い。

 2020年に設立70周年を迎えた同社は、90年代前半にマツダの自動車工場でロボットのライン設備を手掛けたのをきっかけにSIer事業に参入した。90年代後半から2000年代にかけて液晶ガラス基板搬送ラインを数多く製作した実績から、クリーン環境のシステム構築が得意だ。

「SIer事業では、実績が仕事を呼び込む流れができている」と上田文雄社長

 今では電機や研究機関、化学、農業、医療機器、自動車など幅広い分野でロボットシステムを設計、製作し、その過程で得た豊富なノウハウが強み。「ある業界では当たり前の技術が、別の業界からは斬新に見えることはよくある。業界の垣根を飛び越えてノウハウを集約、展開することで産業の発展に寄与できる」と力を込める。

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