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2020.07.02

試行錯誤の30年、車のノウハウを食品でも/エス・イー・ティー

今年で創業30周年を迎えるエス・イー・ティー(SET、愛知県蒲郡市、高橋良昭社長)は、自動車産業を中心に自動化を手掛けるシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)だ。顧客の要望やコストを踏まえた提案を心がける。「自動車産業向けの自動化は洗練されており、そのノウハウは他業種にも転用できる」と高橋社長。最近では、食品産業からの引き合いもある。

自動車関連が9割以上

9割以上が自動車産業向けの自動化ライン(提供)

 創業からの30年間で、6500件以上の自動化システムを手掛けたSETの強みは、生産ラインの一部だけでなく、素材投入から完成品検査まで全体のシステムを構築できることだ。

 自動車産業から引き合いが多く、受注の9割以上を占める。例えば、自動車の足回り部品の組み立てについてはこれまで50ライン以上も手掛けた。溶接やかしめ、カバー取り付けなど一連の作業を、2台のロボットを使用してラインを構築した。

 現在は、自動車以外の業種へのアプローチにも力を入れる。特に次世代通信規格(5G)で盛り上がりを見せる電気電子業界だ。
 また、「自動車でも足回りやエンジン関連だけでなく、電気・電子部品や内装など幅広く仕事を受けたい」と高橋社長は意気込む。

スタートは装置製作から

本社機能を移すTS工場

 産業用ロボットや、工作機械用の自動化機器のガントリーローダーによるシステム構築だけでなく、必要な周辺機器や専用機を設計、製作する機能も持つ。それはSETが部品加工、装置製作からスタートしたからだ。

 創業当初は加工補助具(ジグ)などの小物加工を引き受けたが、次第にガントリーローダーやコンベヤー、検査機などの省力化機械の設計、製作をするように。その後、ロボットシステムにも取り組み始めたことで、工程全体の自動化に対応できるようになった。

 今ではほとんどが産業用ロボットを組み込んだ自動化システムで、多いときでは60台ほどが工場に並んだことも。2016年には4拠点目のTS工場を設立し、組み付けエリアをこれまでの3倍に拡大した。今年の6月には本社機能をTS工場に移し、本社のある第1、2工場は部品加工や装置製作のマザー工場にした。将来的には部品加工も受注できるようにする。

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