食品機械展で着実な進化や実用的な提案多く【その1】/FOOMA JAPAN2025
問題は「どう取るか」
食品と一口に言っても、ロボットが取り扱う対象は不定形な食材から仕掛品、包装された完成品まで幅広い。それらをどのようにつかむのか、ロボットハンドメーカーなどもさまざまな提案を見せた。
コンバムは、クラフト袋吸着用ハンド「SGP-H3」を紹介した。同製品はスポンジのパッドがワークの外形に倣い、クラフト紙袋やドリンクのシュリンクパックなどの吸着に適する。5月下旬に発売したばかりの新製品で、従来機種ではボディーにアルミを使っていたが、樹脂に変更することで約1kgの軽量化に成功した。重量は4.6kgで、30kg可搬のロボットに搭載すれば、単純に計算すると25kgの対象物を吸着できる。大型のクラフト袋では25kgの物も多い。
「ロボットの可搬質量をできるだけハンドに割かず、その分重いワークを扱いたいとのニーズは強い。そうしたニーズに応えた製品」と営業担当者は話す。
日本ピスコ(長野県岡谷市、河西利行社長)は、卵を吸着搬送できる真空パッドを初披露した。パッド先端の構造を工夫し、卵の殻をつぶさずに密着してつかめるようにした。吸着パッドで卵を搬送する場合、一つ一つの形状や置いてある向きの違いなどで安定してつかめないケースがある。会場では、色ごとに形状が異なる卵を用意し、それらを一度に30個運ぶデモを披露した。
取締役を務める飯澤貴清営業副本部長は「食品業界の省人化ニーズは拡大しており、今回展では卵の搬送に向けた具体的なアプリケーションを訴求した。食品向けで今後広く展開できれば」と語る。
日東工器は、電動吸着ポンプ「e-VEE(イーヴィー)」にニッタのロボットハンド「SOFTmatics(ソフマティックス)」を付けて展示した。近日中にも、ニッタと販売の協力体制を正式に築き、日東工器経由でも販売を始める。
担当者は「e-VEEは吸着ポンプなので、先端が要る。これまでは真空ハンドのみだったが、グリッパータイプを使いたくニッタのSOFTmaticsを採用した。展示会で参考出展したところ、ニッタの担当者の目に留まり、販売協力の形を取れた」と経緯を語る。
イーヴィーは真空ポンプを内蔵し、コンプレッサーやエジェクターが不要だ。圧力センサーでポンプを自動停止させるため吐出圧力や流量を抑制でき、同能力比で最大77%の消費電力削減につながるという。
「その2」では、今回展で多くみられた自動化提案を中心に紹介する。
――続く
(ロボットダイジェスト編集部 FOOMA JAPAN2025取材班)