2020.07.06
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【特集】[集結! 自動化の最新提案vol.4]自粛明けにロボットメーカーが独自アピール

海外2ブランドの代理店に/リョーサン

リョーサンが販売するフランカ・エミカの協働ロボット

 安全柵を必要とせず、人と同じ空間で作業ができる協働ロボット。多くの国内ロボットメーカーが開発、製造に乗り出しているが、海外製品もそれぞれの特徴を生かして日本市場に参入している。  半導体や電子部品、電子機器を扱う商社のリョーサンは、今年1月から産業用ロボットの輸入販売を始めた。扱うのはドイツのフランカ・エミカと、中国の新松機器人自動化(新松)の協働ロボット。  「フランカ・エミカのロボットは全ての関節にトルクセンサーを搭載し、軽く接触しただけで停止する安全性の高さが魅力。新松は、中国科学院の技術者らが創設した中国でもトップクラスのロボットメーカーで、幅広いラインアップをそろえる。この両ブランドなら差別化できる」とソリューション事業本部の萩山公晴プロジェクトマネージャーは自信を見せる。  リョーサンがロボット事業への参入を検討し始めたのは2018年からで、販売開始に先立ち昨年10月の「メカトロテックジャパン2019(MECT2019)」では、アルミ架台メーカーのエヌアイシ・オートテックの展示システムに新松の協働ロボットを提供。昨年12月の「2019国際ロボット展(iREX)」では、両ブランドの製品を展示した。  「ロボットのプロであるシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)や大手製造企業の生産技術者からは『名前は聞いたことがあったが、実物を見たのは初めて』、『日本で買えると思っていなかった』などさまざまな反響があった」と萩山プロジェクトマネージャーは語る。  特に力を入れるのが、7軸仕様の提案だ。6つの回転軸の組み合わせでアームを動かす6軸タイプの製品が一般的だが、フランカ・エミカは7軸が基本で、新松にも7軸の製品がある。7軸ならアームを狭い場所に潜り込ませたり、回り込ませてワークの裏側からの作業もしやすい。  「両ブランドとも国内ではまだ『知る人ぞ知るメーカー』。多くの方にその魅力をお伝えしたい」と萩山プロジェクトマネージャーは話す。

協働に必要な安全、そして価格/三機

 加工補助具や工具などを幅広く扱う商社の三機(名古屋市熱田区、木島正人社長)は、今年の1月から中国のロボットメーカー、Han’s Robot(ハンズロボット)の協働ロボット「Elfin(エルフィン)シリーズ」の販売を始めた。中国製ロボットの代理店契約は、AUBO(オーボ)ロボティクスに続き、2社目。  これまで扱った「オーボiシリーズ」は、他社の協働ロボットに比べてコストパフォーマンスが高く、中小企業にも導入しやすかった。今回のエルフィンは、オーボに比べれば少し高価だが、国内や欧州メーカーの製品に比べれば求めやすい。オーボとの違いは「安全面にある」とFA営業部RB企画課の乃一章夫室長は話す。  協働ロボットの安全規格で定められた衝突時の圧力の限界値は、最も値の低い頭部で110ニュートン(N)。一方、エルフィンは70Nと下回る。ハンズロボットは、中国でレーザ加工機などを製造するハンズレーザーのグループ企業で、モーターなどを自社で製造する。「そのため各部品の互換性も良く、衝突時の反応速度を高められる」と乃一室長は分析する。  これからは、安全性を重視する企業にはエルフィンを、価格を重視する企業にはオーボを提案するという。  またティーチングレスの「オーボパレタイジングシステム」や、測定機メーカーとの連携によりエルフィンによるねじ穴の自動検査装置も用意。今年の秋には、本社でPSの開催を計画しており、そこでアピールする考えだ。  これまで人手不足などを理由に自動化が注目され、徐々に浸透しつつあった。今回のコロナ禍で、人の接触を少なくしても生産性も下げない工夫が求められ、自動化システム導入の加速が予想される。今回紹介した6社の他にも、より使いやすく、より導入しやすいロボットの提案がこれからさらに増えそうだ。

(ロボットダイジェスト編集部 曽根勇也、渡部隆寛)

三機が1月から扱い始めたハンズロボットの「エルフィンシリーズ」
コストパフォーマンスの高い協働ロボット「オーボiシリーズ」
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