[ロボットが活躍する現場 vol.60]自動化システムの自作でノウハウを守る/セトウチパッケージ
利益を生むための大胆な方針転換
セトウチパッケージは5年前から自動化を本格的に進めたが、構想自体は25年ほど前から存在した。「当時はロボットの位置決め精度が要求に届かなかったり、紙の素材であるパルプのわずかな伸び縮みに制御ソフトウエアが対応できないなど問題点が多く、断念した経緯がある」と振り返る。
自動化を一度諦めた時からハードやソフトの性能が向上したのに加え、取り扱う品目が変わったのが自動化を再度推進する要因となった。25年前は真四角の一般的なパッケージを製造していたが、参入企業が多いため競争が激しく、受注を得るために薄利を強いられていた。利益率を高めて企業を存続させるために、一般的なパッケージよりも競争が少ない特殊パッケージに参入した。
「紙器業界全体を見渡すと斜陽産業で、積極的な設備投資を避ける傾向がある。特殊パッケージは例えるなら足跡のない雪原のようにまっさらな未開拓分野。特殊パッケージは化粧品やお土産品など一定の需要が見込めるものの、一般的な形状のパッケージとは異なるノウハウが求められる。そこに商機があるとみて、工程の自動化など設備投資を業界の流れに反して進めた」と張田会長は語る。
将来は自動化ラインの提供も
特殊パッケージは形状がさまざまで機械に対応させるのが難しいため、手作業で製造するのが一般的。セトウチパッケージは自動化のノウハウが業界に広がって自社の独自性が失われないよう、ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の手を借りずに自動化システムを構築した。
特殊パッケージの自動化をするために、さまざまな形状に合わせたプログラミングをその都度するとなると時間や手間がかかってしまう。ビジョンセンサーを使うことで、測定した形状に合わせて自動でその形状に合った台紙の貼り付けをできるようにした。
自動化システムの中には水性接着剤を瞬時に乾燥させる乾燥機と組み合わせたものもある。同社は産業用ロボットに関する知見を元々持っていなかったため、メーカーの研修を受けたり、ロボットを動かすプログラムを試行錯誤しながら構築することで扱い方を学んでいった。「ロボットと複数の機械を連携して動かすためのプログラムを構築するのに苦労した」と明かす。
今後はさらなるロボットの増設も視野に入れる。装飾用の紙と台紙の貼り付けに加え、今後は6軸垂直多関節ロボットを使った箱の組み立ての自動化も計画する。そのためにも、自動化のノウハウを暗黙知にせず社内に図面などの形にして残すことにも取り組む。
また、社内の自動化の先にはさらなる目標がある。「今はわが社の中で完結しているが、将来的には構築した自動化ラインを提供するサービスに発展させたい」と張田会長は意気込む。

