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2024.06.11

連載

[ロボットが活躍する現場vol.36]樹脂成形の現場が一変! 5年で生産性2倍に【後編】/石川樹脂工業

樹脂成形を得意とする石川樹脂工業(石川県加賀市、石川章会長)は、この5年で生産性を約2倍まで引き上げた。従来は人手に頼りきりだったが、協働ロボットの導入を機に生産現場の景色を一変させた。後編では、同社が内製したロボットシステムの具体的な作業内容を中心に紹介する。企業概要やロボットの導入経緯を紹介した【前編】はこちらから

二色成形も2台の成形機と2台のロボで

2台の射出成形機と2台のロボットが向かい合う

 2019年に産業用ロボットを5台導入してから、生産現場の自動化を本格化させた。
 同社で内製した一つが、二色成形の生産ラインだ。2台の射出成形機と2台のロボットを使った。

 二色成形とは、色や材質の異なる二つの樹脂材料を一体にして成形する技術。一般的には、一台で二色成形できる専用の射出成形機を使う。

二色成形したスプーン。持ち手と食べ物をすくう部分の素材が違う

 二色成形ではまず、1種類の樹脂で最終的な成形品(ワーク)の一部を成形する。その後、そのワークを別の金型上に配置し、別の樹脂で二度目の成形を行う。
 一度成形したワークを金型上に配置する際に高い位置決め精度を求められるため、ワークや金型の交換を自動でする二色成形専用の射出成形機を使う場合が多い。

 ところが、同社では2台の射出成形機と2台のロボットを連動させて、二色成形を実現した。

ロボットがジグを介さずワークを直接受け渡す

 一度目の成形が終わった後に垂直多関節ロボットが射出成形機から取り出す。そのワークを2台目のロボットが受け取り、2台目の射出成形機にセットする。その際に、高い位置決め精度でワークを配置する。全体を一連の生産システムとして、連動させている。
 また、1台目と2台目のロボット間でワークを受け渡す際に、ジグ(補助具)を介さないのも工夫した点だ。

 生産現場の自動化や省人化を担当する開発部の北村匡浩マネージャーは「二色成形しないときは、2つの自動化ラインとして、別々のワークも生産できる。専用機を導入するよりも汎用的に使える形を目指した結果が、2台の射出成形機と2台のロボットの連動だった」と話す。

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