[注目製品PickUp! vol.85]ワークと近距離の撮像で精密作業を自動化/IDS「Ensenso Bシリーズ」
ロボットと組み合わせやすい
同シリーズはモノクロカメラを搭載するタイプと、カラーカメラを搭載するタイプをラインアップする。カラーカメラのタイプはワークの色も判別でき、例えば同じ形状のワークを色別に仕分けるなどの作業も自動化できる。「ワークの色を認識できる機種は従来もあったが、モノクロカメラとカラーセンサーを組み込んでいたため、サイズが大きかった。Ensenso Bシリーズではカラーカメラ搭載タイプを用意し、サイズを小型化した」と橘マネージャー。
同シリーズの本体サイズは幅120mm×高さ56mm×奥行き104mm。コンパクトながら頑丈さも兼ね備え、かつ省配線で接続できる。
3Dカメラは作業スペースの上部に設置することも多いが、これらの特徴を兼ね備える同シリーズはロボットの手首にも搭載しやすく、ワークにカメラを近づけて撮像する運用もしやすい。
まずはテストを
IDSは1997年にドイツで創業した。これまでに2Dカメラと3Dカメラを合わせた販売台数は、世界で190万台を超えるという。
「世界中で導入実績があり、3Dカメラの用途もピック&プレースや外観検査、ワークの箱詰めなど幅広い。日本のユーザーから自動化の要望があった際に、海外で類似する事例を基にしてスムーズに提案できることが多い」と橘マネージャーは語る。
Ensenso Bシリーズもさまざまな自動化ニーズに応えられ、電子部品など小さいワークの認識に向くのはもちろん、多様な金属加工品のピック&プレースにも適用できる。「ステレオビジョン方式の3Dカメラは通常、表面が光を強く反射するワークの認識に向かないが、Ensenso Bシリーズは鏡面ほどでなければ認識できる」と橘マネージャーは言う。他には表面が黒いワークも認識しづらいが、素材によっては黒でも問題なく認識できるケースもある。
「そうした観点でも、自動化に興味のあるユーザーにはまず実際のワークを使ったテストを提案する。日本法人ではデモ機の貸し出しもしており、テストしやすい環境を整えている」と橘マネージャーは話す。
欧州では産業用カメラメーカーとしてトップクラスのシェアを誇る同社だが、日本では知名度が課題という。
「日本はロボットの導入台数が多く、重要な市場。すでにロボットが稼働する現場でも、さらに高度な自動化を実現するべく3Dカメラを検討する企業が増えてきた」と橘マネージャーは分析する。
認識精度が高くロボットと組み合わせやすいEnsenso Bシリーズは、そうしたユーザーの要望に応えられる。同社は今後、展示会への出展やセミナーの開催などに力を入れ、国内のユーザーへ一層アピールを強める。
(ロボットダイジェスト編集 水野敦志)