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2021.03.31

EVOが日本市場参入、中小企業にドイツのIT・IoTを/EVO Japan

ドイツのEVO(エボ)インフォメーションシステムが日本市場に参入する。製造業向けのIT、モノのインターネット(IoT)ソフトウエアメーカーで、生産管理システムや、工作機械の稼働監視システムなどを提供する。「ドイツのデジタル技術で日本の中小企業に貢献したい」とユルゲン・ウィトマン社長は話す。

安価ですぐ稼働

 ドイツのEVOは日本法人EVO Japan(エボジャパン、茨城県日立市、ユルゲン・ウィトマン社長)を設立し、日本市場に本格参入する。金属加工の中小企業向けに強みを持つドイツのソフトメーカーで、生産計画・管理(PPS)/企業資源計画(ERP)ソフト「EVOコンペティション」を中心に、切削工具の管理ができる「EVOツール」、設備のリアルタイム稼働監視ができる「EVOパフォーマンス」などのシステムを提供する。EVOコンペティションで月額10万円、買い切りなら200万円から使える。無人搬送車(AGV)への動作指令に使えるソフトもあるという。

EVOのソリューションのイメージ

 「どこからでもデジタル化に着手でき、少しずつ買い増していけば総合的なデジタル化も可能。最初にEVOコンペティションを入れ、次に設備をネットワーク化して加工前の工具の段取りなどを支援するEVOジェットストリームを導入する企業が多い」と本社と日本法人の社長を兼ねるウィトマン社長は言う。

 世界では15カ国、1000を超える企業で導入実績がある。日本での導入実績は4社で、いずれも製造業の中小企業という。
 「導入のしやすさ、導入までの早さなど評価が高い。インストールだけなら1日。稼動には組織内部でのルール作りなども必要だが、それでも30人規模の会社で1カ月以内に稼動できる」と言う。

17年に使節団として来日

ドイツからウェブ取材に応じるユルゲン・ウィトマン社長

 ウィトマン社長が日本への進出を検討し始めたのは2017年。EVO本社のあるドイツのバーデンビュルテンベルク州と、茨城県の日立地区産業支援センターとの地域間交流事業の一環で、使節団として来日した。

 茨城県の中小企業を複数視察したが「どの企業も紙と人でさまざまなことを管理しており、アナログで驚いた。机に書類が積まれているなんて、ドイツでは中小企業でもあり得なかった」とウィトマン社長は話す。この状況を目の当たりにし、自社の製造業向けソフトが日本の中小企業のデジタル化に貢献できると考え、進出を決めた。

 茨城県や日立市、日本貿易振興機構(ジェトロ)などの協力を得て19年に日本法人を設立。そこから各種ソフトの日本語版を作成した。「日本語訳が終わり、これからという時に新型コロナウイルス禍であまり営業活動ができなくなったが、先行して導入した4社で導入効果が確認できたこともあり、改めて日本での普及拡大を図りたい」とウィトマン社長は言う。
 「1980年代には日本生まれのトヨタ生産方式の生産技術がドイツの製造業の改善に役立った。今度はドイツのデジタル化技術で日本の製造業に恩返しがしたい。小さなステップから始められるので、まずはドイツのデジタル化の方法を試してほしい」とウィトマン社長は話す。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)


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