[注目製品PickUp! vol.71]国内の現場で、より魅力が輝く/オークラ輸送機「EasyPAL(イージーパル)」
懸念の解消で一気に製品化
イージーパルの稼働の様子(提供)
そのような流れもあり、米国法人では先行して、URの10kg可搬の協働ロボットを組み込んだシステムを開発していた。URの協働ロボットの販売実績や制御ソフトも含めた開発のしやすさなどは当時から高く評価していた。一方、可搬質量の低さが懸念だった。
そんな中、URから2022年に20kg可搬のUR20が発表された。懸念が解消されたことから、オークラ輸送機はURとパートナーシップを結び、イージーパルの開発に着手した。
小野山常務は「実は国内の顧客の使用環境こそ、協働ロボットベースのパレタイズシステムが向く。いち早く提案したかった。実際、発表後に想定以上のお声がけをもらい、期待から確信に変わりつつある」と明かす。
顧客ニーズも新規開拓も
その大きな要因が、国内の工場や倉庫の余分なスペースの少なさだ。
国内では、建屋内の限られたスペースを効率良く使用する工場や倉庫が多い。特に工場では生産設備が優先され、物流工程のスペースを大きくは取れない。
そのような状況下では、大型で安全柵も必要な産業用ロボットの導入は難しい。
工程間搬送では同社のコンベヤーなどのマテハン機器を使いながらも、その流れが行き着く最後のパレタイズ工程だけが人海戦術という生産現場もある。その中で人手不足が進み、喫緊の課題となっている。
イージーパルは安全柵が不要で、リスクアセスメントをすれば作業者の近くで使える。そのため、物流工程のスペースが限られた生産現場や物流現場にも提案できる。
同社はマテハンシステム全体を手掛ける例も多い。小野山常務は「このラインアップ拡充により、大きなピースが埋まった」と手応えを口にする。
ドアオープナーとして新規の市場や顧客開拓の役割も期待する。パッケージ製品に仕立てたことで、これまで自動化が進んでいなかった生産現場でも導入の検討をしやすいためだ。
まず、イージーパルの導入を検討してもらうことで、その次に上流にある工程間の搬送機器なども組み合わせて提案するきっかけにする。