[注目製品PickUp! vol.58]世界初の空気圧式協働ロボット/フエスト「Festo Cobot」
一番の差別化はピエゾバルブ
関節部分にはロータリーアクチュエーターを使用し、ピエゾ(圧電)素子を使ったピエゾバルブでエアの流量を制御し、バランスを取る。ピエゾ素子は電圧で反応、変形するため、一般的な空圧機器が行うON/OFF制御だけでなく、任意の位置での正確な制御もできる。この利点を活用してアームの動きを細かく制御できる。「一番の差別化はピエゾバルブ」(ボクダノヴィッツ社長)。
実際にアームに触れて動きを止める際には、空気圧ならではの独特の柔らかさを感じることができる。
ピエゾ素子による制御の能力の上限で可搬質量には制限があるが、協働ロボットの一般的なレベルとして問題はなく、フエストコボットのターゲットにはモーター駆動式からの置き換え需要も入る。
駆動機器の第一人者
フエストは1925年に木工機械の開発、製造からスタートし、55年には空気圧製品事業を開始してFA(工場自動化)分野に参入した。65年には教育事業部を開設し、若手技術者の養成の分野にも注力している。77年には早くも日本法人を開設した歴史を持つ。「インドに最初に進出した海外機器メーカーだったなど、わが社は海外展開を早くから進めた。日本市場は競合他社が最も多く、古くからこの市場で切磋琢磨(せっさたくま)している」とボクダノヴィッツ社長は話す。
技術的には、常に新しいコンテンツを開発し続け、生産性向上のための提案をしてきた企業だ。88年にはアクチュエータを制御するバルブターミナルを開発。欧米では空圧機器メーカーとして認知度は高い。空圧機器を根幹に、エアサーボとその制御バルブまで手がける。
また、空圧機器だけでなく電動アクチュエータをベースにした機器もあり、空圧式と電動式の両方をラインアップする駆動機器メーカーとしての存在感を確立している。現状の日本市場でのフエスト製品は、XYZの3軸ステージなど電動アクチュエーターも多くを占める。
また、フエストのオンリーワン技術が、モーションアプリで制御するバルブのプラットフォーム(基盤)「モーションターミナル」だ。これにより空気圧機器のデジタル化を強力に推し進めている。
空圧や電動の要素部品を使用する設計者に向けては、ウェブで製品の3Dデータも提供しており、設計に使う製品を選びコスト計算などもできるシステムをホームページで活用できるようにしている。「全てをもっと素早くそろえるとのコンセプトでサービス展開も図っている。フエストの強みはトータルソリューション。全部担うことができる」(ボクダノヴィッツ社長)。
設計の着想から発注までをウェブで一括して行うことができ、1週間かかっていたような仕事を数時間で済ませられるようにもなるという。