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2022.04.25

連載

[ショールーム探訪vol.5]関西最大規模の総合ショールーム【前編】/HCI「ロボット・AIラボ、ロボットセンター、ロボハウス」

総合的なロボ展示としては関西最大

くせのある電線をきれいに巻き取るのは、手作業でも難しい

 ラボでは産業用ロボットと協働ロボットを常備し、安全性と安全柵の有無を実感してもらう。カメラの有無によるコストの差も説明する。奥山社長は「2020年にラボをオープンしたが、開発の進ちょくや引き合いの動向に合わせてデモ機の入れ替えやリニューアルをしている。『HCI ROBOT CENTER(ロボットセンター)』や『HCI ROBO HOUSE(ロボハウス)』、今年6月に完成予定の『HCI TEST FACTORY(テストファクトリー)』を合わせれば、メーカーを問わないロボットの総合的な展示施設としては関西でも最大規模だ」と力を込める。

 「2022国際ロボット展(iREX2022)」開催前の取材だったが、取材当日のラボでは、展示会に出展したケーブル自動整列巻取ロボットシステムを囲んで数人のスタッフが作業をしていた。展示に備え、化粧直しをしているところだった。「電線には加工時にかかる力でくせがつき、線径にも公差があるなど、真っすぐではない。形状の誤差を許容しながらボビンに巻いていく作業をロボット化した。人の手で1本ずつ巻いていた従来に比べれば、生産性を大幅にアップできる」と奥山社長。iREX2022の会場でもひときわ異彩を放っていた。

AIを組み込んだデモも

ラボに常設する箱詰めロボット

 常設のデモシステムの中には、人工知能(AI)を組み込んだものもある。ラボの名前に「AI」が含まれていることからも分かるように、同社はロボットシステムへのAIの搭載に積極的だ。AI開発企業に頼らずとも独自にAIを開発する技術があり、ティーチングしたプログラム内の未確定の要素をAIで決めるなどの使い方をする。

 同社が手掛けるロボットは、製造業向けにとどまらない。産業用ロボットをアミューズメント用途に使う場合もある。取材時に開発中だったのは、だんじりばやしをロボットに演奏させるもの。だんじりといえば岸和田が全国的に有名だが、泉州地域では広くだんじり祭りが盛ん。永野耕平岸和田市長たっての希望で、実現の可否を検討しているところだった。

泉大津市立図書館に導入した案内ロボット

 なお、ラボの一つ上のフロアにある泉大津市立図書館にも、同社が手掛けた案内ロボットが設置されている。書架の案内やスタッフの補助、蔵書の点検などをするロボットだ。同館は昨年9月に移転オープンしたばかりで、とてもきれいな図書館。ラボを訪ねる前にロボット導入のメリットを体験するのもおすすめだ。
 後編では、残る2つの展示施設「HCIロボットセンター」と、本社内にある「HCIロボハウス」を紹介する。

――後編へ続く


(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

施設概要
名称:①HCIロボット・AIラボ ②HCIロボットセンター ③HCIロボハウス
所在地:①大阪府泉大津市旭町20-1アルザ泉大津第2棟(アルザタウン3階)
    ②大阪府泉大津市田中町10-7(泉大津商工会議所内)
    ③大阪府泉大津市東豊中町3-14-10
予約連絡先:0725-90-6206(代表)


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