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2022.04.26

連載

[ショールーム探訪vol.5]関西最大規模の総合ショールーム【後編】/HCI「ロボット・AIラボ、ロボットセンター、ロボハウス」

ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のHCI(大阪府泉大津市、奥山剛旭社長)が展開する3つの展示施設。前編では、開発拠点の「HCIロボット・AIラボ」を訪問した。後編では、同じく泉大津駅前にある「HCI ROBOT CENTER(ロボットセンター)」と、今年1月に本社内にオープンした「HCI ROBO HOUSE(ロボハウス)」を紹介する。今年6月中に製造拠点の板原工場の隣に「HCI TEST FACTORY(テストファクトリー)」の開設を控える中、奥山社長が語る実機やデモ機の展示にこだわる理由とは。

道行く人にロボットをPR

「HCIロボットセンター」で最も目立つ、ファナックの協働ロボット

 「HCIロボットセンター(以下ロボットセンター)」は3つの展示施設の中でも最も広く開かれたショールームで、ロボット導入を初めて検討する企業や、地元の小学生にも分かりやすくロボットを紹介する。ロボットセンターがあるのは、南海電鉄の泉大津駅前にある泉大津市商工会議所の1階。前編で訪問した「HCIロボット・AIラボ(以下ラボ)」が入る商業施設「アルザタウン」から、駅を挟んで反対側のロータリー前だ。駅からはものの1分ほど。この上ないアクセスと言える。

 訪れてまず印象的なのは外観だ。道路に面して大きく開いた窓から、緑色のファナックの協働ロボットがよく見える。記者を案内してくれた奥山剛旭社長は「広くロボットに興味を持ってもらうための施設なので、歩道を歩く人にも見えるように窓際に置いた。通りがかった人がロボットセンターに顔を出し、『これは何ですか』と聞きに来られたこともある」と話す。

ロボ導入のメリットを分かりやすく

ラベルが前を向くように持ち直して補充する

 ロボットセンターには協働ロボットの他に、垂直多関節ロボットやスカラロボットといった通常の産業用ロボットなど合計19台をそろえる。中でも分かりやすいデモシステムが、缶飲料の補充、陳列システムだ。コンビニをイメージさせる冷蔵庫の裏にロボットを置き、在庫から取り出して陳列する。それもわざわざ、商品ラベルを正面にして並べるこだわりぶり。ショールームとしてロボットシステムを公開する他、安全特別教育を実施する研修室や、「ロボットアイデア甲子園」などのイベント会場になるホールがある。

 もともと南大阪地域ではロボットを含む工場の自動化を推進する取り組みが手薄だったこともあり、近畿経済産業局から委託を受ける形で、2018年にロボットセンターを開設した。以来、セミナー受講やイベントなどに多くの人が来場しており、高い成果を生んでいる。

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