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2021.11.18

連載

[活躍するロボジョvol.9]何事もまずはやってみる/田口鉄工所 河合美稀さん

ロボット業界で活躍する女性にスポットを当てた連載「活躍するロボジョ」。9回目は、田口鉄工所(岐阜県大垣市、田口泰夫社長)で人事や広報を兼務しながら、ロボット事業部にも所属する河合美稀さんを紹介する。「三足のわらじ」を履く河合さんは「何事も面白がってとりあえずやってみる」ことを心掛ける。入社6年目ながら既に20人の後輩がおり、「次に同じ業務を担当する後輩が楽に動けるような仕組みを作りたい」と話す。

三足のわらじを履く

 入社6年目の河合さんは、新卒や中途の採用活動をする人事と、会社をPRする広報を兼務する。
 これに加え、田口鉄工所が2019年に立ち上げたロボット事業部にも所属しており、「三足のわらじ」を履きながら日々の業務をこなす。

 ロボット事業部では、安全特別教育の講習会を開催する施設「RTC東海」の企画や運営などを担う。ティーチング(ロボットに動作を覚えさせること)や検査などを担当する作業者には、ロボットを安全に動かすために基礎知識を学ぶ特別教育の受講が義務付けられている。同社は、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の高丸工業(兵庫県西宮市、高丸正社長)と連携して、ロボットユーザー向けの教育施設であるRTC東海を19年に開所した。

 河合さんは講習会のパンフレットの制作や、講習で使用する資料作り、申込者への事務手続きを担当する。「広報誌に売り込んだり、近所の公共施設にパンフレットを置いたりと、多くの人に講習会を知ってもらえるようにコツコツ活動しています」と話す。

「何事もまずはやってみることを心掛けています」と話す河合美稀さん

 ロボット事業部の立ち上げ当初は、ロボットの知識も経験もなく苦労した。「ロボットの安全面や、リスクアセスメント(リスクの分析と対処)などの研修を何度も受けた他、社外のSIerの集まりにも積極的に参加し、少しずつ知識を吸収しました」と言う。

 19年に安全教育講習を始めた当初は受講者集めに苦労したが、地道なPR活動により徐々に受講者が増え、今では月に1回以上、定員4人で開催できるまでになった。現在は受講者の定員数を倍増させるための準備を進めている。

 「既存の講習室は手狭なので、より多くの人に受講してもらうためにも、広いスペースを確保し、現在は講習室のレイアウトを考えている最中です。今後は講習を週に1回、年間で50回開きたいと考えています」と話す。

 田口鉄工所はロボットの減速機用の部品などを製造する金属加工会社だが、サービス業をはじめとした第三次産業への進出の足掛かりとしてロボット事業にも取り組み始めた。現在は安全特別教育の他、高校生向けのイベント「ロボットアイデア甲子園」の運営や、リスクアセスメントの策定支援などをしている。
 
 さまざまな業務をこなす河合さんは「何事もとりあえずやってみること」を心掛ける。「豊富な経験を積んだ先輩方にアドバイスをもらいつつも、自分で考えることも大切にし、一歩一歩前に進むようにしています」と話す。
 上司の田口薫取締役は、「『新しい仕事をやってみない?』と投げかけると、何でも面白がってくれる。細部までしっかりと注意を向けながら仕事を進めるので、安心して任せられる」と評価する。

後輩が楽にできる仕組みを

ロボット事業部の後輩にロボットを教える河合さん(右)

 採用も担当する河合さんは大学生や高校生を前に、会社や仕事の魅力を説明する機会も多い。これまでに採用に関わってきた後輩は既に20人を超えた。

 「自分の経験を話したことがきっかけで、実際に多くの後輩が入社してくれたのは嬉しい」と話す。
 「次に同じ業務をやる後輩が、より楽にできる仕組みを作りたい。後輩には、私が受け継いだものを改善してより良くしてほしい」とも言う。

 休日は友達と買い物するのが楽しみ。ディズニーが好きで、新型コロナウイルス禍前は年に1回以上、東京ディズニーリゾートに行った。「東京出張の際には時間を捻出して、ディズニーの雰囲気だけでも味わいたくて最寄りの舞浜駅まで行ったことも。コロナ禍が明けたら、また遊びに行きたいです」と微笑む。

(ロボットダイジェスト編集部 鷲見咲美)

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