2021.10.28
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SIerの負荷軽減へ、ロボットメーカー発のデジタル基盤/FUJI

ロボットの普及にはSIerが不可欠

FUJIが2017年に発表した小型多関節ロボット「SmartWing」

 電子部品実装ロボットで高いシェアを持つFUJIは、2017年に小型多関節ロボット「SmartWing(スマートウイング)」を発表して産業用ロボット市場にも参入した。  藤田開発センター長は「産業用ロボットメーカーになって初めて、ロボットの普及にはSIerの存在が欠かせないと分かった。だが、SIerは案件ごとにシステムを設計しており、しかも完成するまでに多くの手戻りが発生するため、余計な手間と時間がかかっていた。ここにメスを入れなければ、ロボット化は本格的に進まないと考えた」と説明する。  そこで同社は、SIerの業務を支援するツールとしてイーシスを開発した。  今年4月に運用を開始してから、既に10社ほどのSIerが使っている。三明機工(静岡市清水区、久保田和雄社長)もその一社で、19年12月に開設した施設「バーチャルロボットソリューションセンター」にイーシスを採用した。  三明機工の技術本部開発部の西田真幸部長は「イーシスマーケットの3DCADデータを使うことで、短時間でさまざまなシステムの構想を顧客に提案できるようになった。システム製作後の顧客との意見の食い違いも抑制できた他、プログラムの細かな修正が事前にできるので実機での確認項目も削減できた」と導入成果を述べる。

23年3月末まで無料キャンペーン

三明機工はバーチャルロボットソリューションセンターにイーシスを採用

 イーシスの利用者と、イーシスマーケットへの出展アイテム数をいかに拡充するかが今後の課題だ。藤田開発センター長は「今年度中に利用者を70社、出展アイテム数を500に増やしたい」と意気込む。  利用者であるSIerや出展者を開拓するため、FUJIは双方へのPRに注力するのと同時に、今年4月から無料キャンペーンも開始した。期間は23年3月31日までの2年間だ。  イーシスの主な収入源は、SIerの利用料と、出展者からの販売手数料の2つ。SIerの利用料は月額制で、イニシャルコストはかからない。一方、出展者はイーシスマーケットに無料で登録できるが、製品が売れればその金額に応じた販売手数料がかかる。しかし、SIerの利用料はキャンペーン期間中に登録すれば登録から一年間無料で、出展者の販売手数料はキャンペーン期間中は無料になる。  「イーシスはプラットフォームなので、出展者や利用者を多く集めなければ真価を発揮できない。まずは気軽に使ってもらいたいと考え、思い切って利用料や販売手数料を無料にした」と藤田開発センター長は語る。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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