ウィズコロナで活況、専門展に見る最新ロボット提案【前編】
協働ロボの新製品を初披露
安全柵なしで人と同じ空間で作業できる協働ロボットも来場者の関心を集めた。 大手総合商社の住友商事の傘下で各種産業設備を取り扱う住友商事マシネックス(東京都千代田区、佐橋明三社長)は、19年11月から日本市場での輸入販売を始めた韓国の斗山(ドゥーサン)ロボティクスの6軸の協働ロボットの新製品「Aシリーズ」を初披露した。 Aシリーズは、最大可搬質量5kgで動作半径900mmの「A0509」と、最大可搬質量9kgで動作半径1200mmの「A0912」の2機種をラインアップする。先端軸にトルクセンサーを搭載した仕様も用意した。産機システム本部中部PTC部の柴田昌弥次長は「動作スピードや繰り返し精度に優れ、コストパフォーマンスが高い」と強調する。 小間では、6軸全てにトルクセンサーが搭載された従来の主力機種の「Mシリーズ」とAシリーズを使い、お歳暮ギフト用に缶ビールを段ボール箱に詰めるデモを披露した。
台湾の達明機器人(テックマンロボット)の正規代理店を務めるSSI(浜松市中区、小笠原誠社長)は、協働ロボット「TMシリーズ」のパレタイジング(箱を積み下ろしする作業)用のパッケージシステムを提案した。 導入が簡単ですぐに使えるのが特徴で、小笠原社長は「今回展の目玉の一つ。反響は大きい」と胸を張る。 また、TMシリーズ専用の3次元(D)ビジョンセンサー「TM 3DVision(ビジョン)」も披露した。TMシリーズには2Dのビジョンセンサーが標準搭載されているが、そこにTM 3Dビジョンを追加搭載することでばら積みピッキングの作業が可能に。会場では、ケースに積まれた卓球のピンポン玉を認識してピッキングするデモを披露した。
専門知識なくても簡単に
ロボット専門展では、無人搬送車(AGV)や搬送ロボットなどを展示するエリアもあり、複数の出展者が最新製品を提案した。 12年に設立されたベンチャー企業、Doog(ドーグ、茨城県つくば市、大島章社長)は、協働運搬ロボット「THOUZER(サウザー)」の新製品「サウザーベーシック」を初披露した。 最大の特徴は独自開発の新機能「メモリトレース」。備え付けのジョイスティックを使って走行ルートを事前に記憶させれば、その通りに移動する仕組みだ。 広報担当者は「専門的な知識がなくても、走行ルートの記憶や変更が簡単にできる」と説明する。最大で5つのルートを記憶できる。製造現場や物流倉庫をはじめ、さまざまな業界に攻勢をかける考えだ。 また、サウザーベーシックにはレーザーセンサーも搭載しており、人や他の台車を認識して追従する他、障害物を検知して停止することも可能だ。 会場ではこの他にもユニークなロボットシステムが数多く見られた。後編でもその一端を紹介する。
――後編に続く (ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)