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2026.01.15
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[特別企画 密着!高校生ロボットSIリーグvol.8(最終回)]それでも逃げずに戦い抜く/愛知総合工科高校

「第4回高校生ロボットシステムインテグレーション競技会(高校生ロボットSIリーグ)」が昨年12月13日と14日の2日間、愛知県常滑市の展示会場「Aichi Sky Expo(アイチ・スカイ・エキスポ、愛知県国際展示場)」で開かれた。ロボットダイジェストでは「特別企画」として、前回大会のチャンピオン校(最優秀賞受賞校)である愛知総合工科高校が第4回大会に挑む様子に半年以上にわたり密着してきたが、今回でいよいよ最終回となる。ついに迎えた大会本番。記者も結末を見届けようと現場に向かったが、そこで目にしたのは“まさか”の光景だった――。

【前回までのあらすじ】
前回の記事では、昨年10月と11月の2回にわたって愛知総合工科高校のチームメンバーに密着した様子を紹介した。10月にロボットシステムの肝となるペットボトルや金属ボトルの供給装置の方向性が決まり、11月に訪問した時にはその試作機ができていた。しかし、11月の時点でもロボットシステムがほとんど完成しておらず、課題も多く残されていた。

<前回記事はこちらから>

何が起きるか分からないが…

高校生ロボットSIリーグの第4回大会の開会式の様子

 冬本番を迎え、冷え込みが一段と厳しくなった昨年12月13日。

 愛知県内外の20校と、各校を8カ月にわたって支えてきたサポーターのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)各社が高校生ロボットSIリーグの決戦の地に集結し、外の気温とは裏腹に会場内は熱気と緊張に包まれていた。

 記者は第4回大会の開幕を告げる華やかな開会式の様子を取材しながら、「いよいよ始まるのか」と不安と期待の両方の気持ちを抱いた。勝負は最後まで何が起きるか分からないと思いつつも、やはり不安は大きかった…。

 「“あの”システムでどこまでやれるのか」――。

当初から打って変わってシンプルに

 「World Robot Summit 2025 AICHI(ワールドロボットサミット2025アイチ)」や「あいちロボフェス」などの併催イベントと一緒に高校生ロボットSIリーグの結果もロボットダイジェストで既に報じた(記事はこちらから)ため、先に結論だけ伝えておこう。

 第4回大会の競技部門の最優秀賞受賞校、いわゆるチャンピオン校の栄冠をつかんだのは東京都台東区にある蔵前工科高校だった。愛知総合工科高校は連覇の目標を達成できず、残念ながら優秀賞や特別賞も逃した。

愛知総合工科高校が会場に持ち込んだロボットシステム

 愛知総合工科高校が入賞できなかったのには大きな事情があった。
 右の写真は、愛知総合工科高校が会場に持ち込んだロボットシステムだ。大会前日の12日のリハーサルの際に撮影した。

 vol.7の記事で紹介した時の構想とは打って変わって、4段の棚にペットボトルや金属ボトルを配置し、ロボットが2本のボトルを吸着ハンドで同時にピッキングするだけのシンプルな構成となっていた。
 当初はコイル型スプリングの供給装置を使う計画だったが、思うようにコイル型スプリングが稼働せず、実は大会本番の3日前に断念したという。本番直前に大幅な設計変更を迫られ、「シンプル・イズ・ベスト」を体現したようなロボットシステムに急きょ切り替えたのだ。ティーチング(ロボットに動作を覚えさせること)も一からやり直しとなり、チームメンバーはギリギリまでロボットの動作を調整していた。

当初構想していたコイル型スプリング

 「私は大会本番の直前になってもいまだにコイル型スプリングが動いていない様子を目の当たりにし、彼らに『今のままでは間に合わない』と伝え、『ここで白旗をあげるか、設計変更をしてでも最後まで戦うか』との決断を迫りました。正直に言うと最優秀賞は絶望的ですが、それでも最後まで逃げずに戦い抜くことを選んだ彼らを応援しましょう」――。

 会場でそう話したのは、サポーターの石川工機(名古屋市天白区)の石川利行社長だ。
 その言葉は記者には重く響いたし、大会直前に言われた彼らにも重く響いただろう。

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