[注目製品PickUp! vol.19]同業者も驚く特殊構造で、いろんな物を吸着する【前編】/妙徳「バルーンハンドSGBシリーズ」
本体にも多くの工夫
顧客のラインを止めないために
SGBの新品には、予備の吸着パッドを1個同封する。これは顧客を考えた配慮だ。SGBの吸着パッドはゴム製のため、経年劣化する。柔軟性が売りなのに、ゴムが破損するとSGBの長所を発揮できない。ロボットハンドの吸着パッドが機能しないと、ロボットは持ち上げ作業をできない。人手作業により代替したり、最悪の場合は製造ラインを止めてしまう。
そのような事態を防ぐため、すぐに交換できるよう予備の吸着パッドを新品に同封する。「新品のロボットハンドを買った際に、予備まで買う人は少ない。ならば、わが社側で本体に同封しようと考えた」(国松営業部長)。顧客が吸着パットを交換した際に、次の予備を発注すれば、常にストックがある状態を保てる。
ばら積みピッキング用途で
2016年にロボット関連の展示会で初めて披露した。当初は食品産業向けに提案。食品産業では、野菜や果物など原料を扱う際は特に、不定形物が把持の対象になる。
その後各種展示会に出展すると食品業界はもとより、幅広い業界から関心を寄せられた。最近は物流業や製造業からの引き合いが増えている。業種に関わらず、ケースなどにばらばらに入った対象物をロボットシステムが認識して、持ち上げる「ばら積みピッキング」での採用例が多い。
ばら積みピッキングでは、人間の「目」の役割を果たすビジョンシステムとロボットを組み合わせる。ハンドとしてSGBを付けたロボットを使うと、ばら積みピッキングでもビジョンシステムは簡単なもので済む。
国松営業部長は「対象物に接触できればSGBが吸着する。ビジョンシステムは、そこに対象物があると分かればよい。角度がこうで、重心がどうでといった分析をする必要がない」と理由を話す。
同業者から驚かれるロボットハンド。約40年間、真空機器に特化したノウハウを生かした製品という。後編では、同社の歩みや今後のロボット向け機器の開発方針を聞く。
――後編へつづく
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)
[注目製品PickUp! vol.19]同業者も驚く特殊構造で、いろんな物を吸着する【後編】/妙徳「バルーンハンドSGBシリーズ」(11月21日公開予定)