[JIMTOF2018速報 vol.2]海外勢、周辺機器メーカーからも自動化提案相次ぐ/日本国際工作機械見本市
独自性打ち出す欧州メーカー
JIMTOFには海外メーカーの日本法人や、海外ブランドを国内販売する輸入商社の展示も多い。 ドイツに本社を置くシュンクはロボットハンドメーカーとして知られるが、工作機械に加工材料を取り付けるための固定器具も製造する。 JIMTOFには日本法人のシュンク・ジャパン(東京都品川区、谷本昌信社長)が出展。工作機械用のパレットチェンジシステム「VERO-S」をロボットに応用した展示が特に大きな注目を集めた。この製品は通常、本体を工作機械に取り付け、加工材料を専用プレートにセットして使う。本体と専用プレートは簡単に付け外しできるため、加工材料の交換が一瞬でできる。 この本体をロボットを設置したい複数の場所に設置し、専用プレートにデンマーク・ユニバーサルロボット製の協働ロボットを取り付ける。これにより、1台のロボットを持ち運んで、さまざまな場所で稼働させられる。 「作業者のいない夜間は工作機械への加工材料の付け外しをロボットで行い、作業者のいる日中はロボットを別工程で使える。『この手があったか!』と驚かれる方も少なくない」(マーケティング担当者)。
輸入商社のエスアンドエフ(東京都大田区、白岡佳寿美社長)は、スイス・グーデルのガントリーロボットを展示した。グーデルはギアなどの部品から、それらを使ったガントリーロボットなどの搬送装置まで幅広く手掛ける。 ギアなどの部品では国内でも販売実績があるが、搬送装置を日本向けに提案するのは今回が初めて。ブースではガントリーロボットによるタイヤの搬送デモを披露した。 同社のガントリーロボットは、ユニットの組み合わせ次第で多様な製品を実現できる「モジュール設計」に大きな特徴がある。「従来のガントリーロボットはいわば現場ごとの『専用装置』。しかしグーデル社のガントリーロボットならば、組み合わせる加工設備が変わった際もユニットの組み替えで柔軟に対応できる。自動車関係の企業から大きな反響をいただいている」(グーデルのアプリケーションエンジニア、アドリア・アルカラ氏)。
周辺機器メーカーや加工会社も提案
工作機械に加工材料をセットする固定器具など、工作機械の周辺機器メーカーからの自動化提案も多い。 丸棒材料を旋盤に固定するためのチャックと呼ばれる機器を製造する松本機械工業(金沢市、松本要社長)は、チャックに搭載された爪をロボットで自動交換するシステムを出展した。 「このシステムが強みを発揮できる変種変量生産が近年増えている。展示システムに興味を持ってくれる来場者が多く、手ごたえを感じている」と松本社長は話す。 JIMTOFに今回初めて出展した三和ロボティクス(長野県飯田市、沢宏宣社長)は、工作機械向けの自動化システムの新製品「NEXSRT(ネクサート) A300/A150」を披露した。 同社はそもそも工作機械を使う金属加工業の会社。自社向けの自動化システムで培ったノウハウを生かして開発したのがネクサ―トシリーズだ。 専用のストッカーに加工材料を事前に置くことで、工作機械への加工材料の取り付け・取り外しをロボットで自動化できる。 今回の新製品は、回転する刃物を当てて加工材料を削る、マシニングセンタ(MC)と呼ばれる加工機向けで、「多品種少量生産に対応できる自由度が高いシステム」と沢社長は胸を張る。
(ロボットダイジェスト編集部)
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