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2023.05.18
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[SIerを訪ねてvol.34]2019年に新規参入、今後はコンサルサービスを/田口鉄工所

30年ほど前からロボット導入

自社工場で稼働するロボットシステム
2016年に導入したロボットシステム

 田口鉄工所は部品加工がメインの事業で、製造現場の深刻な人手不足に対応するためにロボットやローダー、パレットチェンジャーなどを30年ほど前から随時導入してきた。工作機械と垂直多関節ロボットを組み合わせた自動化システムを4セット使用しており、その中には30年ほど前に購入したロボットもある。  「ユーザーとしての経験が長いだけに、現在のロボットの問題点と経過年数がたつと問題になる点の両方が分かる。自社のロボット活用のノウハウを生かせば中小製造業の自動化に貢献できると考え、SIerの分野に乗り出した」と田口薫取締役は振り返る。  使い手としてのノウハウは豊富だが、SIer業界では後発組に当たる。「何から取り組むべきか」と情報収集をしていた際に、16年に高丸工業の高丸社長との接点ができた。高丸社長からの助言もあり、SIer事業の一歩目としてRTC東海を19年に設立して安全特別教育の講習を開始した。

IoTシステムも開発

取材に応じた田口頼之取締役(写真左)と田口薫取締役(同中央)、そして「ロボジョ」の河合美稀さん(同右)

 RTC東海は開所から4年がたち、徐々に軌道に乗りつつある。そのため、次はコロナ禍の影響で出足が遅れていたロボットシステムの提案活動を本格的に強化したい考えだ。ファナックや川崎重工業、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)、台湾のテックマンロボットの製品を研究用に導入し、現在はティーチング(動作を覚えさせること)が可能なエンジニアの採用や育成に取り組む。  主なターゲットは多品種少量生産を手掛ける中小規模の金属加工会社。外部のSIerとも協業しながら、ワーク(被加工物)搬送やバリ(加工時にワークの縁に生じる微小な凹凸)取り、組み立て作業などを自動化するロボットシステムを提案していく。  田口薫取締役は「自社のノウハウを基にしたコンサルティングサービスを提供したいと考えている。まずはロボットシステムの企画構想の領域でお客さまに貢献しつつ、その後は外部のSIerと協業しながらシステムの具体化を進めたい」と展望を語る。  また、昨年11月には機械の稼働状況を簡単に可視化できる安価なモノのインターネット(IoT)システムも開発。ロボットシステムの提案と合わせ、顧客の生産性向上をトータルで支援するという。「メーカーや年式を問わずに稼働状況を可視化できるのが特徴で、既に複数の引き合いがある。ロボットシステム導入への橋渡しとして、こうしたIoTシステムの提案にも今後注力したい」と田口頼之取締役は意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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