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2023.03.14

連載

[SIerを訪ねて vol.32]「まるでカフェ」。高難度案件が得意なSIerの新社屋/インフィニティソリューションズ

システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のインフィニティソリューションズ(長野県上田市、小山田聡社長)は昨年10月、新社屋「Villa INFINITY(ビラインフィニティ)」を開所。今年に入り、本格的に活用を始めた。セミナー室を2つ、他にも打ち合わせスペースやラウンジなどを設ける。「ドイツの別荘」をコンセプトに、おしゃれなカフェのような空間を作り上げた。同社が新社屋に込めた思いに迫る。

コンセプトはドイツの別荘

 インフィニティソリューションズは昨年10月、本社敷地内に2つ目の社屋を建てた。内装や家具などの準備も整ったことで、今年に入って本格的に活用を始めた。

 新社屋をおしゃれな空間に仕上げた。ドイツの別荘をコンセプトに、黒を基調に赤レンガ調の壁面や木製の建具をふんだんに使った。空間を広々と使ったカフェのような社屋のに35人規模のセミナー室を2つ、商談スペースやバーカウンターもあるラウンジを設けた。ラウンジには、ゴルフシミュレーターも備える。

新社屋「Villa INFINITY(ビラインフィニティ)」の外観

 このような新社屋を建てた狙いとは――。小山田社長は「顧客とビジネスライク以上のお付き合いをしたいから」と理由を明かす。

 同社はドイツのKUKA(クカ、日本法人=横浜市保土ヶ谷区、アラン・ファム社長)のロボットを使った自動化案件を得意とする。
 KUKAのロボットは、剛性や軌道精度が高いとされる。その特徴が生きるのは、切削加工や立体的な溶接などにロボットを使う案件。軌道精度が対象物の品質に直結するようなシステムとなる。
 構築の難易度も高く、「他社では断られた案件を依頼されるケースが多い」と小山田社長は明かす。

研磨やバリ取り増加

最近の切削加工とバリ取りを組み合わせた構築例(秘密保持契約により設計図で提供)

 例えば、食器や調理器具の仕上げ工程で施す研磨加工を自動化する案件が増えている。 
 対象物(ワーク)をロボットが把持し、ベルトサンダーに当てて研磨する。もしくは、ワークが大型な場合などは、ワークを固定してロボットに手持ちの研磨機などのハンドツールを持たせて対応する。特に曲面に倣って研磨する際などは、KUKA製ロボットの軌道精度の良さを生かせるという。
 小山田社長は「研磨加工は仕上げ工程に多く、品質に直結するため、まだまだ手作業の生産現場が多い。人手不足が加速する中で品質の安定などを目指すと、やはり高度な自動化が必要になる」と話す。

「KATANA(カタナ)」を応用したシステム構築例(秘密保持契約により設計図で提供)

 また、切削加工などで生じた微小な凹凸(ばり)を除去するバリ取りの案件も増えている。
 同社では、産業用ロボットで切削加工や研磨などをするパッケージシステム「KATANA(カタナ)」を開発。これを機に知名度が高まり、個別の具体的な相談にも取り組む。
 最近では円筒状のワークの端面や溝加工した部分をバリ取りするシステムを構築した。

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