[注目製品PickUp! vol.45]横揺れを制する、逆転の発想/ピアブ・ジャパン「BGXシリーズ」
柔軟に吸収する
「従来品は横方向への衝撃に対して、そもそも対象物を揺らさないように『剛を持って剛を制す』といったイメージ。新製品のBGXは対象物をある程度揺れるが、その揺れをベローズで吸収して逃がすことで、対象物を離さない形状を開発した。対象物の揺れに関しては、従来と逆の発想」(岩田マネージャー)。 従来製品では、衝撃を吸収するベローズ部分の凹凸の深さが均等だった。対して新製品のBGXは不均等な形状にして、パッドの根元の近くに凹凸の大きな箇所を設けた。 対象物との接触するリップ部と遠い部分に衝撃を集中させることで、リップ部への衝撃を抑えて対象物の密着を維持する。一体成形でリップ部がより柔軟になったため、従来以上の密着性となり、新開発の形状で従来同等の揺さぶりへの強さとなった。
まずは現実的に
BGXは包装後の製品搬送を主用途に開発された。世界では食品工場からの関心や引き合いも出始めている。 一方、日本特有の課題がある。それが、吸着パッドの使用後に残る袋のしわやよれだ。ピアブなどのパッドメーカーや自動化システムを構築するシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)も発生を防ぐ手段は講じるが、少々のしわは避けられない。 海外では大きな問題になりにくいが、日本では「箱や包装まで製品」との意識が強く、実際にしわなどで消費者からクレームが入るケースもわずかながらあるという。 近年、ロボットを活用しやすい「ロボットフレンドリー」な社会環境を整える取り組みが経済産業省主導で進む。将来的に、ロボットフレンドリーの考え方が広く社会に浸透すれば、「自動化に伴うしわやよれは当たり前だから気にしない」と消費者意識が変わるかもしれないが、一朝一夕には実現できない。