【特集】[集結! 自動化の最新提案vol.7]SIer、コロナで大きな期待!
困った時の駆け込み寺/コスモ技研
コスモ技研(愛知県小牧市、五十嵐宏一社長)は、複数台のロボットによる協調動作や1200度の高温部品の搬送など、付加価値が高く特殊なロボットシステムの構築を得意とする。競合他社が敬遠する難しい案件をこなし、顧客からは「駆け込み寺」と認識される。 営業技術部の柴田和宏部門長は「新工場の建設や設備の入れ替えの段階から関わることもある。50台のロボットを連携させた大規模なシステムを構築した実績なども豊富」と強調する。 取引先のほとんどは一部上場の大企業で、顧客の業界も化学や重工業、工作機械、航空、医療、医薬、食品など幅広い。特殊な案件や新規開発型の大型案件が多いだけに、同社の業績は景気に左右されにくい。新型コロナ禍に揺れる今でも数多くの仕事が舞い込み、中には多忙のために断った案件もあるという。 今後はロボットだけではなく、設備の遠隔監視や予防保全を実現するモノのインターネット(IoT)技術や、製造実行システム(MES、製造工程の状態の把握や管理、作業者への指示や支援などをする情報システム)も含めて一貫して提案し、顧客の製造現場のスマート化に取り組む。
トレーの自動搬送で長時間の無人運転/関東精機
油温自動調整機「OILMATIC(オイルマチック)」で知られる関東精機(前橋市、魵澤剛史社長)は、「PICKMATIC(ピックマチック)」のブランドで各種自動化システムも提案する。 ピックマチックは、大きく①トレーの自動搬送システム「トレーチェンジャー」②ロボットを使った部品搬送システム③加工や組み立て、検査の自動化装置――の3つの領域に分かれる。 中核を成すのが①のトレーチェンジャーで、段積みして整列させたトレーやパレット内の部品や製品を、ロボットやローダーを使って工作機械などの加工機に供給する。長時間の無人運転を実現する他、段取りの効率化にも貢献する。 化粧品容器などのプラスチック成形や、自動車部品の検査装置、電子部品の組み立て装置、工作機械への被加工物の着脱など、ピックマチックのターゲット市場は多岐にわたる。
食品業界でも高まる自動化ニーズ/なんつね
食品業界も人手不足が深刻な業界の一つで、SIerの活躍が期待される。 食肉スライサーなどの食品加工機を開発、製造するなんつね(大阪府藤井寺市、南常之社長)は、食品工場や加工ラインの立ち上げを支援するエンジニアリング事業でロボットを使い始め、SIer事業に新たに参入した。 食品関係の展示会などで、食品加工機とロボットを組み合わせた自動化システムを披露したが、まだ販売実績はない。南社長は「食品業界は人手不足が深刻だが、あまり自動化が進んでいない。ロボットを使った自動化提案を強化したい」と話す。 強みは食品の加工工程を熟知していること。例えば、ある作業を自動化するために複雑なシステムを開発しなければならない場合でも、同社は前後の工程も含めて工夫でき、システムを簡易なものにできる。 同社では垂直多関節ロボットやスカラロボットだけではなく、3軸制御で動作する機械も含めて、ロボットを広く提案する。最近は自社製ロボットの開発にも力を入れ、今年8月には自動盛り付けロボット「スコーピオン」を発売する。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希、桑崎厚史)