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　ロボットの活用が進んでいない要因の一つに、技術的な難しさがある。 　例えばお弁当に入っている唐揚げは、一つ一つ形状が異なる。人ならば当たり前にどれも唐揚げだと認識できるが、ロボットシステムにとってはハードルが高かった。 　ビジョンセンサーで物を認識する場合、通常はあらかじめ設定した形状に合致するものを、同じ種類の物として認識する。一つ一つ形状が違う唐揚げでは、これができない。肉だけでなく魚や野菜などあらゆる食材に個体差があるため、唐揚げだけでなく他の料理でも同様だ。 　しかし近年では、人工知能(AI)を用いた判別の精度が高まっており、今後はロボットシステムの普及が期待できそうだ。 　ロボットハンドの進化も、食品産業の自動化を後押しする。自動車部品をつかむようにトマトをつかんだら、つぶれてしまう恐れがある。高野豆腐（凍り豆腐）の煮物をつかんだら、煮汁が絞られてパサパサになってしまうだろう。 　これに対し、柔軟物把持用のロボットハンドがさまざまなところで研究、開発され、製品化が相次ぐ。衛生面にも配慮された製品だ。

　これまで自動化が進んでいなかった食品工場にロボットを導入する場合、いきなり「完全自動化」は難しい。また、中小規模の食品工場の場合はスペースの都合でロボットが置けないことも多い。 　システム全体を安全柵で囲う従来のロボットでは導入できない現場もある。しかし近年は、リスクアセスメント（リスクの確認と対処）をすれば安全柵なしで設置できる協働ロボットが各社から発売されている。 　協働ロボットであれば人と同じ空間で働け、人と変わらないスペースで作業ができる。台車に載せて動かせるようにすれば、その日のシフトに合わせて設置場所を変えたり、午前と午後で違う作業をさせることもできる。 　協働ロボットは、ロボットの専門技術を持たない人が扱う前提で開発されているため、操作が比較的簡単で、生産技術部門を持たない中小の食品工場でも運用しやすい。