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2019.06.04
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人手不足に悩む北陸の企業にロボットを提案/MEX金沢2019

協働ロボットをストッカーに搭載

中村留精密工業は「箱兵衛」に協働ロボットを搭載したシステムを展示

 それだけに今回展では、ティーチングが簡単で中小企業でも導入しやすい協働ロボットや、ロボットシステムの構築を一手に担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の機能をアピールする出展者が目立った。  石川県白山市に本社を置く工作機械メーカー、中村留精密工業(中村健一社長)は、工作機械などに供給するための部品を収納するマルチストッカー「箱兵衛」に、台湾の達明機器人(テックマンロボット)製の協働ロボットを搭載したバリ取りの自動化システムを展示した。バリとは、金属や樹脂部品を加工した時に切り口などに生じる小さな突起物のことだ。  ①協働ロボットが箱兵衛にストックした部品を取り出し②バリ取りのエリアまで部品を運び③バリを取り終えた部品を箱兵衛に戻す――までの一連の作業を自動化した。  同社は今回、バリ取りを自動化するシステムを参考出展したが、組み付けや洗浄、計測など、バリ取り以外の用途も視野に入れる。  中村匠吾専務は「当社が属する工作機械業界は『山谷産業』と呼ばれ、需要の浮き沈みが激しい。箱兵衛に協働ロボットを組み合わせたのは、実は需要の変動にこれまで悩んできた当社の製造現場で生まれたアイデア。協働ロボットは一般的な多関節ロボットに比べて扱いやすく、もし今後需要が変動してバリ取りをする部品が減ったとしても、組み付けや洗浄などに用途を柔軟に変えられる」と説明する。

ノウハウを武器にSIer事業に参入

津田駒工業はロボットでCFRPを加工するデモを披露した

 創業100年を超える地元の老舗企業で、繊維機械をはじめ、ジグ(加工物を固定するための器具)や円テーブルなどの工作機械の周辺機器を製造する津田駒工業は、2018年から新たに始めたSIer事業「TRI」を大々的にアピールした。  前回展はパネル展示だったが、今回はスイスのストーブリ製の大型垂直多関節ロボットを使い、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と呼ばれる軽くて強度の高い複合材料を加工するシステムを披露した。加工機に材料を付け外しするのではなく、アームの先端に加工工具を取り付け、ロボット自体が加工をするシステムだ。ロボットがどのように動いて部品を加工するのかをひと目見ようと大勢の来場者が集まった。  同社はロボットを古くから自社工場で使っており、そこで培ったノウハウを武器にSIerのビジネスに参入した。今回のシステムで加工したCFRPの部品は、実は自社製の繊維機械に使われるという。  「ジグの設計からロボットのティーチング、搬送、そして加工まで含めたシステムの構築を自社で一手に引き受けられる。顧客の自動化ニーズは高く、引き合いも多い」と大河哲史工機販売部長は述べる。

 チャックや円テーブルなどの工作機械の周辺機器を製造する松本機械工業(金沢市、松本要社長)は、安川電機のロボットを使ってチャックの爪交換の自動化するデモを披露した。  チャックとは旋盤(回転する加工物に刃物を押し当てて加工する工作機械)に欠かせない機器で、一般的に3つの爪で加工物をしっかりと固定する役目を持つ。同社は現在、ロボットを使って爪交換を自動化する提案に力を入れている。  爪交換の自動化システムを顧客に提供するにあたり、SIerなどとの連携をより強化する考えだ。松本社長は「当社だけではなく、SIerや工作機械メーカー、ロボットメーカーとアライアンス(同盟)を組み、顧客に貢献したい」と意気込む。  その一環で、会期中2日目の5月17日には「工作機械周辺機器の自動段取り替え」と題したワークショップも開催。約60人が参加した。想定を上回る集客で、会場内の椅子を急きょ追加するほどだった。  ワークショップには営業技術部営業技術課の今村俊哉課長が登壇し、爪交換の自動システムの概要などを詳しく解説した。

松本機械工業が提案した爪交換の自動化システム
ワークショップには約60人が集まった
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