食品機械展で着実な進化や実用的な提案多く【その1】/FOOMA JAPAN2025
6月10日~13日の4日間、世界最大級の食品総合展「FOOMA JAPAN(フーマジャパン)2025」が都内で開かれた。食品機械がメインの展示会だが、食品業界の人手不足を背景に自動化への関心が高く、ロボット関連の出展者も多い。ロボットや無人搬送車(AGV)などを組み込んだシステムが多数展示された。ただ、一時のブームも落ち着き、より実用的な自動化展示が目立った。
過去最大規模で開催
FOOMA JAPANは年に一度、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される。
2025年展は東1~8ホールを使って過去最多の1007社団体が出展し、来場者数も4日間で11万人を超えた。
食品業界の開拓を目指すロボットメーカーや周辺機器メーカーも多く出展した。また、食品機械や包装機械メーカーもロボットを組み込んだシステムを展示した。
異なる重さに自動で対応する協働ロボ
その中でも、細部まで工夫を施し、技術的な進歩を見せてきたのが、大手のロボットメーカーだ。
ファナックは食品を直接扱うものから食品が入った箱を扱うものまで、幅広いシステムを展示した。
30kg可搬の協働ロボット「CRX-30iA」を使ったパレタイジングシステムでは、4kg~23kgのさまざまな重さの箱をカゴ車に積み付け、「負荷補正機能」をアピールした。
協働ロボットの場合、安全確保のためアームにかかる負荷を常に監視しており、あらかじめ設定した数値と異なる重量のワークを持ち上げると、異常負荷と認識されて動作が止まってしまう。
しかし、負荷補正機能を使えば、持ち上げた時点で重量を計測し、その重量に合わせた最適な速度で安全機能を維持したまま自動搬送できる。
その他、食品仕様のロボットを複数展示した。
ロボット研究開発統括本部長の安部健一郎常務執行役員は「生肉などに直接触れるならオールステンレスのパラレルリンクロボット、そこまでではないのなら米国食品医薬品局(FDA)認証の耐環境性の高い白エポキシ塗装のロボットなど、ニーズに合わせて選択できる」とレパートリーの幅広さをアピールする。
安川は「おいしそうにケチャップをかける」ロボ
安川電機はブースの一番目立つ場所で自律的に動作するロボット「MOTOMAN NEXT(モートマンネクスト)」を展示した。
コンベヤー上のオムライスにケチャップを掛ける動作を披露した。展示では本物ではなくオムライスの写真を使ったが、置かれた向きや形状が一定ではない本物のオムライスも認識して作業できる。
「食品企業が持つノウハウを覚えさせれば『オムライスに合わせておいしそうにケチャップをかける』など感覚的な作業もできる。モートマンネクストの特徴がティーチレスだけではないことを伝えたい」と営業本部食品営業部の鈴木章弘部長代理は語る。
また、モートマンネクストの他、垂直多関節ロボットを使った総菜のふた閉めロボットも展示した。鈴木部長代理は「ふたをただ上から押し付けるのではなく、人がするように一部をはめてから輪郭に沿って圧力を掛けてふたをはめる。この動作は垂直多関節ロボットならでは」と話す。