生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.04.16

活用事例

[ロボットが活躍する現場vol.13]立ち食いそば屋でロボットが麺をゆでる

今回は、駅構内の立ち食いそば屋で活躍するロボットシステムを紹介する。狭いキッチン内で協働ロボットがそばをゆで、人が盛り付ける。人のすぐ横で使える協働ロボットのならではの使い方だ。「オペレーションをあまり変えず、駅併設の飲食店として最も古い業態の駅そばを変革できた」とJR東日本スタートアップ(東京都新宿区)の柴田裕社長社長は語る。

1カ月の実証実験

ロボットが導入された小金井駅内のそば屋

 3月16日、東京都小金井市のJR小金井駅構内にある立ち食いそば店「そばいち nonowa(ノノワ)東小金井店」で「そばロボット」が稼働し始めた。
 このシステムを開発したのは、産業用ロボットを使った自動調理システムを得意とするシステムインテグレーター、コネクテッドロボティクス(東京都小金井市、沢登哲也社長)。

ポスターでもロボット導入をPR

 JR東日本とJR東日本スタートアップによる「JR東日本スタートアッププログラム」の採択を受けて実施したプロジェクトで、駅の立ち食いそば店をロボットで自動化する実証実験の位置付けだ。
 実証実験はスタートから1か月後の4月15日までの予定だったが、4月7日に東京を含む7都道府県に緊急事態宣言が発令されたため、翌日から同店舗は臨時休業となり、実証実験も現在は中断している。

協働の特徴生かしシンプルに

 協働ロボットを使い、そばをゆでる作業や、ゆで上げ後のぬめりとり、冷水でしめる作業を自動化した。1時間当たり40食分を調理できる。
 「ロボットを壁面に取り付けることで、狭いキッチン内でも邪魔にならずに設置できた」と沢渡社長は工夫した点を語る。

  • ロボットは壁付けで使う

  • そばロボットを開発したコネクテッドロボティクスの沢登哲也社長

盛り付けは人がする

 ゆでる前のそばをざるにセットする作業や、ゆで上げ後の盛り付けは人がする。
 人とロボットが協力して一つのそばを完成させるため、安全柵なしで稼動させられる協働ロボットでなければ難しいシステムだ。
 使ったロボットは、台湾メーカーのテックマンロボット製の「TMシリーズ」。

アーム先端の突起をジグの穴に入れて固定

 専用ジグ(補助器具)には、ゆで上げ用の金属ざるを3つセットできる。アーム先端の2つの突起を、ジグの穴にはめて持ち上げる。動力や制御が要らない、非常にシンプルな方式だ。

 シンプルな構造だが、ざるを斜めにしての湯切り作業などにも対応できる。

コネクテッドロボティクスが過去に開発したホットスナック調理ロボット(写真はFOOMA JAPAN2019の展示)

 コネクテッドロボティクスはこれまで、たこ焼きロボット「octochef(オクトシェフ)」や、ソフトクリームを作るロボット「レイタ」などを開発してきた実績がある。

 たこ焼きロボットはビジョンセンサーと人工知能(AI)技術を組み合わせ、焼きムラまで判断する機能を持つ。一方今回は、そばをゆでる工程に特化して必要な機能を突き詰め、あえてシンプルなシステム構成を採用した。

最古が最先端に

「最古が最先端に」と語るJR東日本スタートアップの柴田裕社長社長

 今回のロボット導入では、全体のオペレーションをあまり変えずにゆでる作業だけをロボットに置き換えられた。そのため、JR東日本スタートアップの柴田社長は「駅の立ち食いそば屋、いわゆる『駅そば』では年齢層の高いスタッフも多く働いているが、これならばスムーズに導入できる」と印象を述べる。
 また、「駅そばは駅併設の飲食店として最も古い業態。それを最先端技術で自動化したことの意義は大きい」と述べた。

 コネクテッドロボティクスの沢登社長は「オクトシェフなど他のシステムは既に実績があり、引き合いも増えている。今回のそばロボットもいずれは水平展開していきたい」と語る。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

TOP