[注目製品PickUp!vol.84]従来のロボットハンドの苦手分野こそが得意分野/KiQ Robotics・リックス「柔軟指」
北九州高等専門学校発のスタートアップ企業KiQ Robotics(キックロボティクス、北九州市⼩倉北区、滝本隆社長)と、機械部品や自動化設備などを開発、製造するリックスが共同開発したロボットハンド用アタッチメント「柔軟指」は、ワークに沿って形状が変化するのが大きな特徴。従来のロボットハンドが苦手とする多品種への対応や不定形物などの把持を得意とする。
多品種大量生産の対応力に強み
「柔軟指」はロボットハンドの爪部分に装着して使用するアタッチメントだ。強みは製品名の通り、柔軟さにある。樹脂素材なことに加えて、ラティス構造(格子を並べたような構造)で内部に空洞が生まれることで、ワーク(対象物)の形状に沿って柔軟指も変形する。これで、ハンドを都度付け替えることなく、不定形物や壊れやすい物などさまざまな種類のワークに対応できる。
切削加工では内部に空洞を作るのは困難だが、3Dプリンターで製造することでこのような構造を可能にした。「強度を重視したい場合は空洞部を小さくしたり、対応力を上げたい場合は空洞を大きくして指をより軟らかくするなど、扱うワークに合わせて密度を柔軟にコントロールできる」とキックロボティクスのエンジニアとして柔軟指の開発を担う片山将さんは話す。
導入事例が最も多いのが自動車分野における通い箱のパレタイズ、デパレタイズだ。通い箱は複数種類あり、それぞれ持ち手やリブなどの位置が微妙に異なる。通い箱に爪をひっかけてつかむタイプのハンドで対応しようとしても、通い箱によってはリブの位置に爪が当たってつかめないケースが生じる。また、その場合に無理につかもうとすると通い箱の破損やハンドの摩耗につながる。