[ロボットが活躍する現場vol.31]ロボット導入で社会課題の解決へ大きな一歩/南山城学園
自動化システムの導入ノウハウを広めたい
この自動化システムは、南山城学園と龍谷大学ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンターの共同企画「KOUFUKU(こうふく)連携プロジェクト」の活動の一環として導入された。同プロジェクトは、就労継続支援B型の該当者の工賃の上昇をはじめとした社会課題の解決を目指す。 「就労継続支援B型の全国平均工賃は一般的な最低賃金を大きく下回る。賃金を上げるためには高品質な製品をそれに見合う価格で販売することが大事。ロボットを使うことで、製品の質の安定化が図れる」と赤塚施設長。 自動化システムを構築するにあたり、企業や大学とも連携をとった。システムの安全装置の構造は京都大学が考案し、基板を組み込むセンサーデバイスの活用方法を和歌山大学が提案した。インテグレーションはJOHNAN(京都府宇治市、山本光世社長兼最高経営責任者〈CEO〉)が担当した。 「地域と共に歩むのが社会福祉法人のあり方。しかし、非営利団体のマネジメント論を研究する龍谷大学政策学部の深尾昌峰教授と話をする中で、地域の複雑な課題は社会福祉法人だけで解決できないと気付かされた。ロボットメーカーやSIer、大学と協力することで、自動化システムを完成することができた」と語る。 製造した基板は獣害駆除の檻に設置する感知センサーに組み込まれ、見回りの省力化に活用される予定だ。また、今回の自動化導入で培ったノウハウを、他の社会福祉法人にコンサルティングの形で広めることも視野に入れる。「社会福祉法人は営利団体ではない。利益を追求するのではなく、今回の経験を他の団体にも広めていきたい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)