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2025.07.03
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食品機械展で着実な進化や実用的な提案多く【その2】/FOOMA JAPAN2025

AMRが全盛に

オークラ輸送機は包装品入りコンテナ搬送ラインからコンテナを運ぶAGVまでを組み合わせて展示

 オークラ輸送機は包装品入りコンテナ搬送ラインと包装品をコンテナに投入するシャトルコンベヤー、コンテナを積み上げる段積み装置、コンテナを運ぶAGVを組み合わせたラインを実演した。
 AGVには、中国のHIKROBOT(ハイクロボット)が今年発表した最新製品を採用した。従来は、床の2次元コードを読み取ってAGV自身の位置を把握し、移動していた。最新製品はレーザー測定を使って周囲の環境と自己位置を認識するSLAM(スラム)方式も搭載し、実質的に自律搬送ロボット(AMR)となった。人のいる環境でも使いやすくなり、狭い工場などでも採用できる。

 オークラ輸送機の小野山達夫常務は「スーパーやコンビニエンスストアに最終製品を配送する食品工場や物流倉庫の荷さばき場は狭く、さばくパターンが無数なので柔軟な運用が求められる。この新製品で、そういったニーズに対応しやすくなった」と語る。

日伝が展示したKeiganのAMRと自社オリジナルの運搬支援ロボット「TugRos」

 日伝は商社の強みを生かし、複数メーカーの製品を組み合わせて自動化を提案した。搬送の自動化ではKeigan(ケイガン、京都府精華町、徳田貴司社長)のAMRと組み合わせ、自社オリジナルの運搬支援ロボット「TugRos(タグロス)」をアピールした。搬送を省力化する製品で、自律走行機能はないが動力源を内蔵し、重い物を載せた状態でもハンドルを引っ張れば軽く動かせる。

 「ハンドルは人が引いてもいいが、AMRと連結すれば追従して動き、AMRの運搬力を飛躍的に高められる。タグロスは充電器や送料を入れても40万円強なので、AMRを複数台導入するよりもコストを大幅に抑えられる」と営業推進部マーケティンググループの古賀雅史課長は言う。

三浦工業のブースで走行する、ミラボットのAMR「防水キャリロWP」

 ボイラーメーカーの三浦工業のブースでは、食品向け殺菌装置や加熱冷却器などが並ぶ中、AMRにも注目が集まった。
 展示した製品は、グループ企業のミラボット(東京都港区、中山謙一郎社長)が、6月に発売したけん引タイプのAMR「防水CarriRo(キャリロ)WP」。防じん・防水保護(IP)等級の「IP65」に相当しており、ジェット水流で丸洗いできる。また、製パン工場など小麦粉の粉じんが舞う環境下での運用にも向く。

 「わが社のAMRはこれまで食品業界にも展開してきたが、出荷エリアでの稼働が多く、調理場などで使うのは環境的に難しかった。湿気や水、粉じんに強いAMRのニーズに応えるべく開発した」と担当者は説明する。

今までにない搬送装置

伊藤忠マシンテクノスは、モノレール式搬送システム「モントラック」を出展した

 機械商社の伊藤忠マシンテクノス(東京都千代田区、松本茂伸社長)は、ドイツのmontratec(モントラテック)のモノレール式搬送システム「montrac(モントラック)」を出展した。
 走行レールからシャトルのドライブモーターに給電して動かしており、シャトルの停止精度は1mmを誇る。走行レールはモジュール式で自在にレイアウトを決められ、レールの進路を切り替えるスイッチを組み合わせるなどもできる。

 伊藤忠マシンテクノスの大阪技術第一課に所属する松原一成技師は「リニア搬送システムに比べ導入コストを抑えられるが、どちらかといえば競合するのは無人搬送車(AGV)など。モントラックはレールを上部空間に設置することでスペースを有効活用できる点などもメリット」と話す。

――終わり (ロボットダイジェスト編集部 FOOMA JAPAN2025取材班)

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