[活躍するロボジョ vol.44]信頼される技術者でありたい/ニデックドライブテクノロジー 福岡紀砂世さん
ニデックドライブテクノロジー(京都府向日市、辻田穣治社長兼最高経営責任者〈CEO〉)の減速機カンパニー開発第1部第1グループに所属する福岡紀砂世さんは、減速機の設計、開発に加えて第1グループの取りまとめを担う。「高度化するお客さまの要求に限界まで応え、知識の幅を広げることで、信頼される技術者であり続けたいです」と話す。
顧客の要望に真摯に応える
エイブル減速機は半導体製造装置や包装機械、工作機械の他、ガントリーローダーや無人搬送車(AGV)にも使われる。近年は中国のロボットメーカーからヒューマノイド(ヒト型)ロボット向けの引き合いも増えている。
エイブル減速機はさまざまな用途を想定した豊富な機種をラインアップする。減速機とモーターの間にブッシュと呼ばれる筒状の部材を挟み込んで固定するアダプタ・ブッシュ結合方式と、モーターのシャフトを減速機の歯車に直接挿し込んで固定するダイレクト結合方式のいずれかで、メーカーを問わずさまざまなサーボモーターに取り付けられる点が大きな強みだ。
「軽薄短小や静音性のニーズが高まっており、カタログ品をカスタマイズする際に形状や寸法、性能などで実現不可能なご要望をいただくこともあります。その際には何らか代替案を提案することを心掛けています。相談すれば何とかしてくれると思っていただけるような信頼される設計者を目指しています」と話す。
福岡さんはエイブル減速機の設計、開発にとどまらず、第1グループ全体の取りまとめも担う。取りまとめの役割についた当初は立場の違いに起因する苦労もあった。「入社以来ずっとプレイヤーの立場であり、設計や開発を手掛けるのが好きでした。そのため『私が設計や開発をしたい』との気持ちを抑えて他のメンバーに業務を託すことの難しさはありました」と打ち明ける。
過去には他社とも協業し、7軸垂直多関節ロボット用減速機の開発に携わった。通常の遊星歯車減速機とは異なる機構を用いた既存ラインアップにない専用減速機をゼロから設計し、達成感もひとしおだった。その際に設計した減速機はバックドライバビリティ(逆駆動性)の高さが特徴で、トルクセンサーを使うことなく外力を検出できる。
「ロボットを直接動かして動きを覚えさせるダイレクトティーチングの際に、減速機のバックドライブトルク(逆駆動時の抵抗)が大きいとアームを動かしにくく、なめらかなティーチングがしにくくなります。ダイレクトティーチングをしやすくする他、ロボットに加わった外力をモーターに伝えさせるため、近年のロボット産業では減速機にバックドライバビリティの高さを求めるケースが増えています」と語る。
子どもとのシール作りにもこだわり
福岡さんは大学の理工学部で3DCADについて学ぶ機会があった。その中で歯車の形状に興味を抱いたのが、入社を決めた一因だった。また、学生時代は写真部に所属していたこともあり、業務内容の一つにマイクロスコープを使った歯車の歯面検査があった点にも興味を引かれたという。
平日は仕事に追われている分、休日に家族との時間をたっぷりとる。最近は子どもとシール作りを楽しんでいるという。紫外線(UV)ライトを当てると固まるレジン液をシール表面に塗布して立体感を出すのがこだわりだ。「ものづくりが好きなので、シール作りにもついついこだわってしまいます」と笑う。
福岡さんは周りから信頼される技術者を理想像に挙げる。「近年は求められる技術やニーズの変化が激しいため、機械設計の知識だけでなくソフトウエアや制御関係の知識を増やしたいですね」と先を見据える。
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