[ショールーム探訪 vol.22]“共創”拠点を設けたデベロッパーの決意に触れた/野村不動産「TechrumHub」(3/3)
今年夏にはリニューアルの計画も
野村不動産でテクラムを担当する都市開発第二事業本部物流事業部の宮地伸史郎次長は以前、オフィスなどの賃貸部門に在籍したという。
テクラムの取り組みに加わる前には「オフィス賃貸物件のように、物流機器も比較しながら検討をできるようなポータルサイトを作れば効率が上がる」と感じていた。
しかし、いざ取り組んでみると、似たような課題を持っている顧客が複数いても、解決へのアプローチはさまざまと知った。
「賃貸物件など比較サイトが一般的なサービスの多くは、課題や付加価値といった顧客が欲する情報が標準化されているため、ポータルサイトが機能すると知った。物流現場では、業種や荷姿だけでなく、拠点の立地や配送先の数等によっても解決方法が異なってくる。そこで親密な個別提案が必要と知った」(宮地次長)
そこで、荷主企業への実演提案のために見学会を開く。その上で、各社の得意なソリューションを組み合わせて、新たな価値を生み出す狙いでテクラムハブを運営している。
現状は出展各社が個々に展示ソリューションの内容を決めているが、今年夏に予定するリニューアルでは、実際の倉庫の工程に近い形で展示する方針を掲げる。同社も展示企画の計画に加わり、倉庫の入庫から出庫、倉庫内の搬送中の状況把握までを一連の流れとして、構築するもくろみだ。
宮地次長は「わが社は土地や建物などの『場』を用意するのが得意。このテクラムハブという場の中で、各社の得意技をさらに組み合わせて、新しいソリューションを生みたい。さらに、見学した荷主企業の意見も加えて改善することで、より高度な自動化や効率化につなげて、物流業界の課題解決に少しでも貢献したい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)
[取材記者から]
テクラムハブに一歩踏み入れると、まるで本当の倉庫のようだった。展示会の会場よりも実際に使用するイメージを抱きやすい。この地を訪れるまでは、商社やシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)ではなく、大手不動産が展示場を運営するのが、正直不思議だった。しかし、訪れると印象が変わった。野村不動産が「場」を提供して共創を促そうとする決意を感じた。まもなくリニューアルの予定という。まさに、「得意を持ち寄る場」の本領発揮となりそうで、今から胸が高鳴る。
施設概要
名称:野村不動産「TechrumHub(テクラムハブ)」
所在地:千葉県習志野市茜浜3-7-2 「Landport(ランドポート)習志野」内
予約・問い合わせフォーム:https://www.nomura-landport.com/techrum/pochub
※要予約