2025.09.09
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導入支援の“輪”を全国へ広げる【後編】/全国ロボット・地域連携ネットワーク 松元明弘主査

全国ロボット・地域連携ネットワーク(松元明弘主査、事務局:ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会内)が6月30日に設立された。ロボットの導入支援の取り組みを全国に広げるための組織で、地方自治体や各地域のロボット導入支援コンソーシアム(共同体)、機械振興協会、日本ロボットシステムインテグレータ協会などが参画する。同組織設立の背景や今後実施する取り組みはどんなものか。全体の取りまとめを担う松元主査(東洋大学教授)に話を聞いた。

導入まで伴走する専門家が必要

RINGプロジェクトの全体イメージ

――前編では全国ロボット・地域連携ネットワーク、通称RING(リング)プロジェクトの概要や各ワーキンググループ(WG)の活動計画についてうかがいました。ユーザーのロボット導入をサポートする「コーディネーター」を非常に重視されていましたね。

 はい、ロボット導入などを通して日本の産業の生産性を高める上で今一番必要なのが、コーディネーターのような存在であると考えています。ロボット導入では、事前に企業内の課題を明確にし、業務を分析してロボットに任せる工程を決め、ある程度システムの構想を考えて求める仕様をRFP(リクエスト・フォー・プロポーザル=要求仕様書)としてまとめるなど、事前の準備が必要になります。生産技術部門がある大企業であれば何の問題もありませんが、ロボットを初めて導入する中小企業がこれら全てを独力でするのは少しハードルが高いと思います。

機械振興協会による食品工場支援の様子

――確かに少し難しいかもしれません。

  ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)がそこまでカバーするケースもありますが、SIerの本来の仕事はロボットシステムを構築して納入することです。自動化ニーズの拡大でSIerは多くの案件を抱えており、事前のコンサルティングから必要な案件までは手が回らないこともあるかと思います 。そこが今、産業界の生産性向上のボトルネックとなっています。SIerと連携してユーザーに伴走する専門家が必要で、われわれが育成しようと思っているコーディネーターがそれに当たります。

――なるほど、確かに重要ですね。

 コーディネーターが事前に検討した結果、工程改善などで課題解決が可能で「ロボット導入は必要はない」との結論が出てくるケースもあるかもしれません。ロボット導入は「手段」であって、「生産性向上や人手不足の解消を通して日本の産業や地方社会を活性化すること」が目的ですから、それはそれで構いません。コーディネーターという呼称や、担い手の人材像、活動内容などは今後議論を深める中で変化するかもしれませんが、その機能を担う人が今後ますます重要になることは間違いありません。WGが互いに連携しながらコーディネーターの育成や活動のサポートなどを進めていきます。

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