[注目製品PickUp! vol.36]産ロボ特化で簡単立ち上げ・高コスパ【前編】/コグネックス「AlignSight」
手首取り付け、固定式のどちらにも
「AlignSight(アラインサイト)」は、産業用ロボットや、自動で位置決めができる可動式ステージ(自動ステージ)と組み合わせて使うためのビジョンシステムだ。
ロボットは通常、あらかじめティーチングしたポジションへアームを動かすことしかできないが、ビジョンシステムがあれば「部品がある場所を認識して、その位置に取りに行く」といったことができる。ロボットと組み合わせる場合、「アーム先端に取り付ける」、「ロボットシステム上部のフレームなどに固定する」の2パターンの使い方ができる。
「機能を絞ることで価格はローエンド機種以下に抑えたが、必要な機能については最高レベルのアルゴリズム(データの処理方法)を採用し、性能はハイエンド機種と同等」と磯部シニアマネジャーは自信を見せる。
ロボット用途は幅広くカバー
汎用のビジョンシステムは、外観検査や寸法・形状の確認、バーコードや文字の読み取りなどさまざまなことに使用できる。一方、アラインサイトにこうした機能はなく、対象物の幾何学的パターンを検出し、指定した対象物を認識する「パターンマッチング」と、現物合わせでプログラムの座標を補正する「座標補正機能」のみを搭載する。
機能は少ないが、ロボットと組み合わせて使う用途ならほぼ全てカバーできるという。
物をつかみ上げて所定の位置に置くピック&プレース作業や、部品を組み付ける組み立て作業、工作機械への加工材料の付け外し、接着剤の塗布作業時の塗布面の認識など、ロボットを使った幅広い作業に活用できる。
ハードウエアにもこだわり
アルミ製のきょう体(筐体)は汎用のビジョンシステム「In-Sight(インサイト)シリーズ」と共用で、熱した金属を金型に圧入して一体成形するダイカスト鋳造で製造する。
筐体がしっかりした物でないと、ケーブルなどの振動がコネクターを通して基板に伝わり、故障の原因になることもある。樹脂製などと比べ頑丈なアルミダイカスト製のこの筐体なら、そうしたリスクを抑えられる。
ケーブルは、通常はオプションとなる耐屈曲性の高いものを標準搭載。ロボットの手首に取り付けた際の繰り返しの屈曲にも耐えられる。
ラインアップは、「インサイト2000シリーズ」と同じ筐体の「AS200シリーズ」、「インサイト8000シリーズ」と同じ筐体の「AS800シリーズ」の2機種。シリーズ内でさらに、カメラの画素数、照明ユニットの有無などで仕様が分かれる
専門の知識・技術がなくても扱える
「アラインサイトなら複雑なシステムを構築する必要はなく、簡単に言えば『対象物を登録するだけ』で使える。ビジョンシステムに詳しい技術者でなくても、システムを立ち上げられる」と磯部シニアマネジャー。「汎用の製品でシステムを構築する場合と比べると、立ち上げ時の手間は比較にならない。汎用の製品でシステムを組む技術があるとしても、ロボットと組む合わせて使うならアラインサイトを選ばない理由はない」。
前編ではアラインサイトの特徴を紹介した。後編では、同社の技術的な強みやショールーム「コグネックスラボ」で見られるアラインサイトのデモなどを紹介する。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
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