[ショールーム探訪vol.27]コンパクトな機器が広いエリアに立ち並ぶ/ROMS「平和島ラボ」
ロボットダイジェストの記者が読者に代わってショールームを訪問する連載企画「ショールーム探訪」。27回目は、物流や小売り向けの自動化システムを開発・販売するROMS(ロムス、東京都品川区、前野洋介社長)が東京都大田区に開所した平和島ラボを紹介する。倉庫のワンフロアを貸し切ったショールームでは自動倉庫をはじめとする自動化設備のデモを見学できる。
日本の倉庫環境に合わせた自動倉庫
ROMSのショールーム、平和島ラボは2023年1月に開所した。東京モノレールの流通センター駅か京急線平和島駅からいずれも徒歩15分。羽田空港からほど近い場所に位置する。また、すぐ近くには首都高速道路の平和島インターチェンジがあり、都内はもちろん地方からのアクセスも良好だ。 ショールームがある一帯は倉庫が立ち並ぶエリア。似た建物がたくさんあるため訪問時は間違えないように注意が必要だ。 ショールームでは850㎡のフロア内に小型自動倉庫や無人店舗、無人搬送車(AGV)を利用した棚搬送システムなどを一堂に展示する。フロアは電子商取引(エレクトリックコマース、EC)・物流向けソリューションエリア、小売向けソリューションエリア、ロボットピース・ピッキング・エリアの3エリアに分かれており、目的に合った提案を受けられる。
小は大を兼ねる
中でも代表的な製品が小型自動倉庫の「Nano-Fulfillment Center(ナノ・フルフィルメント・センター、NFC)」だ。100㎡から設置でき、保管、ロボットピッキング、仕分け、出庫までの必要な機能を全て備えている。 NFCをはじめとする同社の小型自動倉庫はすべて日本で製造している。設計の段階から日本の現場、中でも500㎡以下の現場を想定し、それらの環境に合ったサイズや機能を充実させた。同製品は常温・定温(10℃~20℃)・冷蔵(0~10℃)の3つの温度帯に対応しており、現在、冷凍にも対応できるよう、開発を進めている。 前野社長は「小は大を兼ねる」と話す。コンパクトなシステムを構築するには各機器の配置に工夫が必要で、各機器の連動を意識した制御も複雑になる。大きいシステムをコンパクトにすることはできないが、同社のシステムならば小さくも大きくも導入できる。 NFCの保管エリアの高さは、ニーズに合わせて自由に設定できる。「小型自動倉庫といっても一体どれほどの大きさなのか、実際に稼働している姿を見ないと分からないと思う。ショールームで稼働しているところを見てほしい」と前野洋介社長は語る。
自社開発のロボットピッキングシステム
展示しているNFCはロボットピッキングに対応したモデルで、自動倉庫から流れてきたコンテナに乗っている物品を、産業用ロボットがピッキングする。 自社開発したピッキングシステムには人工知能(AI)を活用したビジョンシステムを搭載し、事前に画像やサイズなどの情報を登録しなくても、ピッキングが可能。商品の入れ替わりが激しい場合、登録作業にも時間がかかるが、このビジョンシステムを利用すれば登録作業に割く人員と時間の短縮を図れる。 またロボットピッキングの技術はRobotics Convenience Store(ロボティクス・コンビニエンス・ストア、RCS)にも利用されている。これはロボットを利用した小型の無人店舗で、こちらもショールームでデモを見学できる。