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2023.06.14

[注目製品PickUp!vol.56]独自構造のルーツは自動車部品にあり/NTN「i-WRIST」

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連製品を紹介する連載企画「注目製品PickUp!」。今回は、ベアリングなどの機械部品を製造するNTNの手首関節モジュール「i-WRIST(アイリスト)」を紹介する。アーム部分を人の手首のように動かせるのが大きな特徴。既存の産業用ロボットとは一線を画する構造の根幹には、同社が開発、製造する自動車部品の存在があった。

動作の制約を減らす

 大手ベアリングメーカーのNTNは、等速ジョイントや電動モーターなどの自動車部品を広く開発、製造してきたが、2010年代からはロボット分野にも力を入れる。
 17年に発売した産業用ロボットの関節部向けエンコーダー「複列磁気リング」や昨年11月に発売したロボットハンド「ロータリーアクチュエータ式ハンド」など種類は多岐にわたる。

高速で動けるだけでなく、高い位置精度で停止できることも強み

 同社のロボット分野での製品展開はロボットの構成部品のみにとどまらない。産業用ロボットに相当する存在として、人の手首のように可動域が広く柔軟な動作に特化した小型ロボットのアイリストを展開する。
 大きな特徴は、アーム部分に一般的な産業用ロボットとは全く異なる構造を採用したことだ。3つの関節でつなぎ合わせたロッド状の部品を3本使うことで、屈曲や旋回を高速かつ自在にできる。

 また、アイリストにはロボットを制御する上での特異点(ロボットが制御できなくなる姿勢)がなく、配線ケーブルをアームにまとわせる必要もないため、特異点や配線ケーブルのねじれを気にせずにティーチングができるのもこの構造の大きなメリットだ。ティーチングに専門的なプログラミング言語の知識は必要ないため、熟練者でなくても扱いやすい。

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